昨日11/24に大阪の負の遺産であった「海の時空館」の新しい事業予定者が決まったと大阪市から発表があった。
Twitter(X)では期待する旨のコメントをした。私個人は成功してほしいと切に願っている。
しかし、色々考えてみても、成功難易度が非常に高いように思われる。そう思う理由をざっとまとめてみる。
概要
以下の画像や説明は、シンフォニックスリール株式会社のプレス向け資料(PDFリンク)より引用することする。
引用元:プレス向け資料より
主に施設は
①Premium Jewelry Dome Osaka [ラグジュアリーサービス]
②エントランスパーク [メディカルツーリズム]
の2つで構成されており、資料から推測する限り、どちらも外国人観光客(インバウンド)の来客を前提としている。(②は国内もマーケットになりうる)
立地が難しい
ただ、海の時空館の立地を見ればわかる通り、該当エリアはインバウンドが多い都心エリアからは離れており、外国人が多くいる場所ではない。というか外国人どころか日本人の人通りすら少ない。
ということは施設近くには外国人がぶらついてないわけで、立地的には目的来店(=ついでではなく、この施設を目的としてインバウンド客に来てもらうこと)が前提となっている。
目的来店は難しい集客方法である。目的来店の施設は、利用者に「あのお店に行きたい」と強く印象付けないといけないわけで、コンテンツの質の向上や認知してもらうためのプロモーション、施設までのアクセスの確保など乗り越えないといけない壁が多い。
中途半端だったり、面白くなかったらもういいやと言われて(海の時空館はそれで潰れた)海外客からの評判が上がらず、お客が来なくなって最後は破綻することになりえる。
万博前の2025年2⽉頃に開業する予定とのことだが、万博は半年程度のイベントであり、恒久的に人を呼び込めるIRは2030年以降になる予定であり、それまで資金的に持つの懸念がある。
また、IRが開業したとしても観光客がこの付近で飛躍的に増えるかといえば疑問である。IRへは電車かバス、自動車でアクセスするため、ほとんどの利用者は素通りする。だからIR開業以降も基本的には目的来店じゃないと誘客できないと推測している。
改装工事費用がかさみそう
上は海の時空館周辺を散歩されたユーチューバーの方の動画である。ざっと見た感じだが、施設は使われていない期間が長いためか、施設自体が結構古くなっており、雑草が生い茂ったりコンクリが欠けていたりインフラが痛んでいる印象がある。
当然これらはリニューアルしないといけないわけで、修繕費や内装費はかなりかかるんじゃないかと推測している。特にラグジュアリーと記載されているということは高級志向であり、内装にも力を入れないといけないわけで、コストが跳ね上がる。
全てが全てキッチリ修繕していてはコストがかかって仕方ないので、メリハリを付けるのか良いと思う。例えば、寂れた現代文明を施設のコンセプトとすることで、一部を改修せずボロボロのまま使ってしまうとか。笑
事業内容が難しい
先ほどアップした説明を再掲する。先ほども説明したとおりこの施設はインバウンド向け&高級路線であるが、高額なサービス料に値するだけのサービスを提供することはシンプルに成功難易度が高い。
高額な商品がなぜ高額かといえば、それだけの付加価値がある商品を作れる事業者が少ないからである。6個で400円のたこ焼きはマニュアル通り焼けばいいので誰でも作れるけど、6個1000円のたこ焼きは誰でも作れるわけではない。大きいタコを使ってインパクトを出したり、内装を派手にして観光客の購入意欲を引き出したり、お客さんの期待を超えるために色々工夫が必要なのだ。
資料から推測する限り、この施設は6個1500円ぐらいのたこ焼きを目指しているわけで、お値段に値する高付加価値なサービスを提供しなければならない。
私は素人なので何とも言えないけど、、、これ事業内容めちゃくちゃ難しくない?
確かに大阪に足りない、もしくは必要だといわれ続けいているナイトタイムエコノミーや高級路線のインバウンド向けサービス、メディカルツーリズムをピンズドで提案に織り込んでおり、提案としては魅力的だけど、成功するかどうかはまた別の話である。
観光(ナイトタイムエコノミー)やメディカルツーリズムを軸としてる辺りはさすが大阪の会社。大阪府市側が求めている内容をよく理解していると思う。成功するかは別としても。
— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) November 24, 2023
単純に成功してほしい
まあここまでイメージ画像を準備し、事業内容も提示できているのである程度めどは付いているのだろうが、インバウンド向けの高級なサービスをアクセスが悪い場所で実施するのは難易度が高いように思われる。
なぜ大手企業からの入札がなかったかといえば、黒字化が非常に難しいと判断したためであり、この事実は事業自体の難易度の高さを示しているだろう。ハイリスクハイリターンの事業だといえる。
私個人としては”負の遺産”が新しい観光拠点になることを期待しているが、ざっと資料に目を通した感じで非常に難しそうだったので久しぶりに記事にまとめてみた次第である。
上手くいかなさそうな理由ばかり書いていても建設的ではないので、良いアイディアを思いついたらブログかTwitter(X)にでも投稿しようかと思っている。
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