曽根崎通り・御堂筋に面する大阪駅前ビル(1~4)
先日、ツイッターで大阪駅前ビル問題について投げかけたところ、各方面から意見を頂いた。
大阪駅前ビルどうするか問題
— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) October 7, 2019
大阪駅前ビルの4棟(1,2,3,4)は1970年代に竣工された雑居ビル群で、大阪駅の南側にある。場所としては丸ビルの少し奥になる。
★大阪駅前ビルは全部で4棟ある
第1ビル:1970年4月完成(12階)
第2ビル:1976年11月完成(16階)
第3ビル:1979年9月完成(35階、高さ142m)
第4ビル:1981年7月完成(25階)
第1ビルは完成から約50年近く立っており、建物設備の老朽化が進んでいる。耐震基準の点から考えても危険性は残る。
また、フロアは12階と低くなっており、再開発の実施により、高層化(150m以上?)することも可能だ。
一般に再開発は、低層ビルを取り壊し、高さ100m以上ある高層ビルを建設し、解体や建設などに係る費用を新しく積み増ししたフロア面積で補うことが多い。
例えば、第1ビル(12階)を取り壊して40階のオフィスビルを建てた場合、増加フロアは28階分となり、これが建て替えによるメリットになる。
だからその考えでは、フロア数が少ない第1ビル(12階)や第2ビル(16階)は、高層ビル建設による再開発に見合う収益が見込めるだろう。
もちろん事前に市場調査をして収益性を考慮する必要はあるが、あの駅チカ立地であれば、損をすることはないはずだ。
一方、再開発するにしても問題点や考慮すべき点はいくつかある。
ポイント① 大阪駅前ビルは区分所有
第3ビルの但し書き(「区分所有者」とある)
一般にオフィスビルはオーナーがビルを所有し、入居する企業にオフィスを賃貸する形式が取られる。
一方、大阪駅前ビル群はオフィスビルや地下街を多数の事業者に分譲し、それぞれが使用している。(区分所有という)
つまり、普通の1区画4000万円ぐらいする分譲マンションと同じで、一部の区画を購入して利用する形態だ。
区分所有は区画を売却するのですぐにまとまった収入が得やすいというメリットはあるが、その後の建て替えが大変である。
老朽化して建て替えの話が出ても、地権者の5分の4以上の賛成が得られないと建て替えすらできない(正確には所有する床面積比)。
大阪駅前ビル群が直面しているのはまさにこの点で、内部の管理組合で建て替えの話が出ていたとしても、5人に1人が反対するだけで再開発はできなくなる。
ポイント② ”大阪の宝”である地下飲食街をどうするか?
第1ビル~第4ビルまでズラッと立ち並ぶ地下街。これは感動。
駅前ビル群は地上階は普通の古い雑居ビルであるが、地下1、2階は飲食店街となっており、あれはかなり独特で面白い。
※なおリフォーム済みのフロアはかなり綺麗になっています。
あの低い天井の地下街に、ずらっと飲食店街や飲み屋街が並んでおり、昼は500円の激安定食をほおばるサラリーマンが見れたり、夜はうるさい関西人で満員御礼の居酒屋が見れたりする。
特に知る人ぞ知るおいしい飲食店があり、あれを開拓するのを楽しみにしている通なファンもいたりする。
まさに大阪らしいエッセンスを多分に含んだ地下街であり、突っ込んだ表現をするなら大阪の宝だともいえる。
半端ない数の金券ショップが入居している
(チケット・金券に困ったら地下街へ来ることをオススメします)
このカオスな飲食店街・居酒屋集団を再開発でぶっ潰してしまうのは勿体ないし、それは再開発の目的ではないだろう。
優れたものはそのまま残し、古くなったものを新しくして、その土地の価値を高めるのが本来の再開発の目的だからだ。
区分所有者をまとめる必要がある
例えば第1ビルや第2ビルを取り壊して再開発する場合、それぞれの分譲オフィスの所有者から再開発に対して賛成を取る必要が出てくる。それも5分の4以上。
儲かっていて現状維持がいいと思っているお店も多数あるだろうから、これをまとめるのは至難の業だと思われる。
ただ、東京では森ビルがそのような骨の折れる地権者との交渉を行い、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズを建ててきた。
大阪にもそれだけ大阪の将来に対して強い意志があり、粘り強く交渉できるディベロッパーがいれば、再開発は可能なのかもしれない。
頂いたコメント一覧
ツイッターの利用規約に基づいて引用していますが、意見等ありましたらお気軽に申し付け下さい。
良い意味でも悪い意味でカオスなので、どう持っていけばいいんでしょうね … 。 https://t.co/vKNmZKiI8a
— TOKA (@TOKA_Music) October 7, 2019
大阪駅前ビル群は、色々とカオスです。大阪の縮図ともいえるかもしれません。
東京駅の丸の内ビル新丸の内ビルや、虎ノ門ヒルズクラスのビルに建て替え要。あわせて、阪急から阪神方面大阪駅周辺の地下道の南北道路2〜3本追加拡充し、梅北や新駅とのアクセス向上に向けて総合的に再開発して欲しい。第一第二ビル辺りショボすぎて勿体無い。大手ディベロッパー各社の活力を活かす等
— 斎藤勝彦 (@RoCilZfuo0dMGrc) October 7, 2019
ポイントは老朽化が進む第1、2ビルだと思います。
大人の事情で無理ですね。大阪のウ◯◯地区みたいなものなので。
あの串カツ屋一軒を退去させるのにも数年掛かってるんですから。。費用対効果が悪過ぎます。 https://t.co/NtNhzy0PRs
— たなか たいちろう (@Taichiro_T_T) October 7, 2019
串カツ屋の件を把握していないので分からないですが、契約形態によっては退去させるのは難しかったりします。
賃貸契約にはほぼ無期契約(普通借)と期限が決まった有期契約(定期借)があります。
— nogi@りんご (@AqoursMcfc) October 7, 2019
これそれあれ。
大阪駅前ビル問題に関心を持っている人は意外と多いのかもしれません。
コメント
区分所有が問題なのではなく、管理事務所が問題です。
区分所有者は建て替えを早く求めていますが、管理事務所は組織の延命のため、区分所有者の意見を受け入れず、建て替えではなく耐震補強を強行させようとしています。
マスコミがいう1/5法律の問題は全くの筋違いで、真の問題は有償で働く管理組合組織の保身が建て替えを阻害しています。
確かに、区分所有者の理事会議事録を見れば明らかで、区分所有者は早くの建替えを要求しているのに関わらず、管理組合は耐震補強を強行しようとしているのが事実です。
区分所有者が4/5以上の賛成を阻害しているというのは全くのデマであり、真の問題はこのビルの管理協議会の在り方に問題があるといえます。