大阪が”地方創生”を主張しても肝心な地方に響いてくれない理由

 

2019年の7月21日は全国の参議院議員選挙の投票日である。

それに際して、各テレビ局やネット放送では連日のように討論会が開かれている。

その討論の中で少し驚かされたシーンがあった。それは日本維新の会の松井氏が、大阪府知事と市長の経験や成功を根拠として、行政改革を訴えていたシーンである。

 

松井氏「(火の車だった大阪府市の財政を立て直して)増税なしで高校教育の無償化などを実施してきた。全国でもこの改革を行いたい」

その他の政党党首「恵まれた大都市圏と地方は違う。それは・・・」

※上の会話のテキストは正確なものではなく、あくまで主張の趣旨をまとめたものである。

ただ、私は大阪を首都機能を中心とする政治的構造に恵まれた東京と違って、企業流出や高齢化に悩む地方として大阪を捉えていたが、地方にとっては大阪も恵まれた三大都市圏の一つとして東京とひとくくりにされていたことに関して驚いたのだ。

 

そしてこの部分が、大阪が地方分権や地方創生を訴えても、肝心な地方都市に響いてくれない理由なのだろうと思う。

 

大阪から見た大阪

大阪から大阪という大都市を見た場合、大阪は地方の枠組みに分類されることになる。

一般に東京と比較されがちな大阪であるし、三大都市圏の一つとして日本屈指の大都市として扱われる大阪であるが、現状、首都・東京とは圧倒的に差をつけられてしまっている。

 

おそらくそれは名古屋にとっても同様で、名古屋の人が名古屋を見た場合、名古屋は地方になる。

東京と比べても圧倒的に人口・経済力で差があるし、大阪と比べても都市の規模でまだまだ差がある。

大阪や名古屋は三大都市圏として扱われることを嬉しく思いつつも、自身のことを東京一極集中の弊害を受ける”地方”だと考える傾向にある。.

 

地方から大阪を見ると

でも地方から大阪を見ると、見えている景色は異なっているだろう。

地方にとって大阪や名古屋は、確実に3大都市圏の一つである大都市なのであり、さらに言えば、人口や経済力がある”勝ち組”として見られることになる。.

 

地方といっても札仙広福のような三大都市圏に近い大都市もあれば、本当に人がいない田舎まで幅広くある。

ただ田舎であっても地方都市であっても、どの地方から見ても、大阪は東京と同じレベルで恵まれた大都市であり、東京との格差に苦しんでいることは意識されない。

 

大阪が地方創生を訴えても、地方では響いてくれない理由

大阪にとって”地方創生”は大阪も含めた地方全体の再生であるが、地方にとっては地方の再生であり、”恵まれた”三大都市圏の一つである大阪は含まれていない。

大阪発で全国に地方創生を訴えてもあまり響かない理由はまさにこれである。

 

今後、大阪がさらに発展するには均一的な地方制度を壊して、地方分権を進めていく必要がある。

そのためには、大阪も他の地方都市と同様に、東京一極集中の弊害を受けているのだということを札仙広福を筆頭とする地方都市に理解してもらわねばならない。

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