なにわ筋線開業(2031年)で、中之島のポテンシャルは開花するだろう

大阪の未来構想

あまりに拍子抜けする外観に笑ってしまったオブジェ「一粒の光」。堂島川のほとりにあります。

大阪府民なら「中之島」を知らない人はないないと思う。

でも、定期的にこのエリアに行く人は大阪府民の中でもほとんどいないんじゃないだろうか?

 

赤で囲まれたエリアが中之島

中之島は大阪市北区に含まれており、北は堂島川、南は土佐堀川という淀川の支流に囲まれた細長い島だ。

江戸時代は日本各地から物資が集まる拠点として発展し、近代化が始まる明治以降は大阪帝国大学や図書館、日銀大阪支店など経済・金融・文化の中枢機能が集まっていた。

江戸時代から戦後まで、中之島は大阪の経済を引っ張ってきた歴史ある地域なのだ。でも今は・・・

『うめきた2期』が持つ圧倒的なポテンシャルとは

阪急「大阪空港連絡線」が大阪の都市戦略にとって重要である話

記事の内容を要約!

・中之島で発展しているのは島の東部と中央付近であり、西部は取り残されてきた

・西側が発展できなかったのは、御堂筋線のような南北の交通網がなかったから

なにわ筋線(2031年開業予定)は中之島の西部を大復活させる隠し玉。なにわ筋線による影響が一番大きいのは中之島カモ?

・なにわ筋線の早期開業と中之島の発展に期待します

発展している東部と中央。乗り遅れた西部

威風堂々とした大阪市役所。中之島中央エリアにある。

中之島の中央~東部のエリアは、御堂筋や四ツ橋筋という大阪の大動脈が通っており、それに沿う形で御堂筋横には大阪市役所が立地している。

市役所のでかでかとした外観からは、やはり大阪市という大都市の威厳を感じる。

 

朝日新聞大阪本社が入るフェスティバルタワー(夜景版)

さらに四ツ橋筋の左右にはフェスティバルタワーという高層ビルが建っている。

中之島全体でみるとちょうど真ん中あたりに立地している。

一方、島の西側に行くとどうなるだろうか?

 

一等地が空き地……(悲惨というか凄惨な光景)

西側の地区は一部空き地のエリアもあり、人通りが少なく、活気がないと言わざるを得ない。

リーガロイヤルホテルや大阪府立国際会議場、関経連が入る中之島センタービルなど、一応大型施設は立地しているのだが、それでも都心の立地にしては物足りない状況だ。

中之島の課題は、島の西側のエリアが発展できていない点だ。

 

中之島の西側エリアは、南北のアクセスが壊滅的に悪い

橋は架かっていますが南北の鉄道網はありません

江戸時代など海運が中心の時代は、船は大阪湾から入港して陸に入る形だったので、物流は東西の流れだった。

しかし、陸上交通が自動車となり、御堂筋をはじめとする道路網と鉄道網が整備されると、人やモノの流れは南北(筋)に変わった。

 

現代の大阪では東西よりも南北のアクセスの良さが重要になってくるが、中之島の西側はこれが圧倒的に弱い。

至るところに橋はかかっているので自動車や人の移動は問題ないが、南北を移動できる鉄道が敷かれていない。

 

中之島の西側エリアが大阪全体の発展から乗り遅れてしまったのは、この南北の鉄道網がなく、梅田や難波といった人が集まるエリアから孤立してしまった点にある。

大阪の人は「中之島」という名前は知っていて、少しくらいが高いというかお上品なイメージは持っていたであろうが、ほとんどは西側のエリアに行ったことがないはずである。

それはそもそも、鉄道を乗り継がない限り、島の西側にアクセスできないからだ(笑)。

文字通り、”陸の孤島”となっている。

 

2000年代には京阪が中之島の先見性を見越して中之島線を引いたが、予想以上にお客さんが少なく、優等列車の本数を削減するなどかなり苦戦している。

それはやはり大阪は御堂筋をはじめとする南北の交通網が重要であって、たとえ京阪で枚方や出町柳とつながったとしても、中之島を東西に結ぶルートは大半の利用者にとってメリットはないからだろう。

中之島の西側が復活するには、東西ではなく南北の鉄道網が必要なのである。

 

イノベーター「なにわ筋線」が2031年にやって来る

そして都市としてのポテンシャルを活かせていなかった(西側の)中之島だが、今後は大きく変化するかもしれない。

なにわ筋線というゲームチェンジャーが2031年に出現するからだ。

 

引用元:なにわ筋線について(大阪市)

地図を見ればその破壊力はすぐに分かるだろう。

なにわ筋線は中之島の西側エリアのど真ん中に、南北の鉄道網を敷いてしまうのだ。

なにわ筋線は何かと関空と梅田・新大阪のアクセスアップという点で語られるが、実は影響度で言えば、中之島が一番恩恵を受けるかもしれない。

 

待望だった梅田・難波という大阪の2大中心地へのアクセスを手にすることができる。中之島にとって何たる喜び!

ポンコツだった陸の孤島の西側がこれからは次第に面白くなってくるだろう。

 

中之島周辺は医療系の特区に指定されており、要件を満たせば税制優遇が受けられたりする。

大阪府市が一体となった都市戦略では、けいはんな学園都市や神戸、京都大学、北摂地域などと連携し、国際的な医療拠点を目指す予定だ。

一般市民からすれば少し関係の薄い話なのだが、大阪を中心とする関西エリアは今後、医療と観光を産業の軸に据えると思われるので、中之島はかなり重要な役割を果たすことになるだろう。

 

中之島の魅力とは

中之島。高速道路が邪魔して少し残念だが・・・

中之島の魅力とは何なのだろうか?

筆者は中之島周辺を仕事で通ることがよくあり、暇があるとついつい中之島に寄ってしまう。磁石でも道路に埋め込まれているのだろうか。

 

魅力の一つは交通の要衝にある点だと思う。

南北の鉄道インフラが弱いとはいえ、大阪のど真ん中にある。梅田(キタ)寄りではあるが、梅田と難波の間にある。

また、淀川の支流である堂島川と土佐川に囲まれている。

だから一度は交通インフラが不十分で発展に乗り遅れたとしても、またインフラを整備すればすぐに発展できるだろう。

立地とはそういうもので、立地が良いところにあれば少々衰退したとしても、容易に壊滅することはないのだ。

 

あとは”中之島”というブランドも影響しているかもしれない。

大阪府外の人は分からないかもしれないが、中之島は東京で言えば日本橋や丸の内のようなものである。

銀行の本社機能があったり大企業の本社が入居していて、高層ビルが整然と立ち並んでいる。そういったイメージである。

関西に企業を置く人なら、「本社は中之島にあります」と言われて「最悪ですねえ」と返答する人はまずいない。「ええところに本社構えてはりますね」と返答するのが一般的だろう。

 

「水都」中之島

個人的に好きなのは中之島の風景だ。近代的な高層ビルと大阪の川が織りなす風景は、やはり”水都”と呼ばれるだけあると思う。

小さい頃は「何が水都やねん」と思っていたが、日本各地の都市を見て回って、私の頭は「やはり大阪は水都だ」と結論付けた。

 

駄文を色々書いてきたが、なにわ筋線の早期開業(早くても2031年開業)と、中之島の発展に期待したい。

『うめきた2期』が持つ圧倒的なポテンシャルとは

阪急「大阪空港連絡線」が大阪の都市戦略にとって重要である話

.

コメント