阪神高速から見た九条方面
大阪では伝統的に梅田から中之島、堂島などのエリアを”キタ”と呼び、難波駅周辺のエリアを”ミナミ”と呼ぶ。
別に決まった呼称ではないので厳密な決まりはないが、大阪人や関西人の間ではキタとミナミが定着しているようだ。
さて、最近はそれに加えてヒガシとニシという造語も生まれている。
ヒガシは京橋や森ノ宮、鶴橋といった大阪環状線の東側のエリアを指し、ニシはIRや万博を中心とする夢洲を軸としたベイエリアを指すとされている。
しかし個人的には、あくまで夢洲やコスモスクエア、大阪港といった地域はベイエリアであり、本来はニシといえば大阪環状線の西側のエリア、つまり九条や西九条、弁天町といった地域を指すべきだ。
今回、当記事で”ニシ”=「大阪環状線の西側のエリア(九条、西九条、弁天町など)」と考えることする。
記事の内容を要約!
・インバウンドの好景気を受け、キタ、ミナミ、ヒガシは発展を続けている
・ニシ(九条/西九条/弁天町)はその発展から取り残されつつある
・しかしニシは都心へのアクセスが良いなど、将来性は十分ある
・今後の関西経済にとって、ニシが発展できるか否かは大変重要になる
インバウンド景気を受けて発展するキタ・ミナミ・ヒガシ
斜めの屋根が特徴的な大阪駅
キタは現在、大阪駅周辺で大型開発が続いており、2011年には大阪駅がリニューアルされ、2014年にはグランフロントが開業されるなど、梅田に人が集まるようになった。
また、今後もうめきた2期(2024年先行開業)や旧大阪中央郵便局跡地に複合施設ができたり、阪神百貨店上にはオフィスビルが建設される予定だ。
外国人観光客にもグリコポーズが浸透している
ミナミは心斎橋筋商店街や千日前商店街、黒門市場などあらゆる場所がインバウンド景気の恩恵を受けており、地価も近年は急上昇を続けている。
大阪のみならず、日本で最もインバウンド景気の恩恵を受けているといっても良い。最近は梅田の地価を抜きつつある地域も出てきている。
久しぶりに行くと「やっぱりええなあ」と思う大阪城
ヒガシは大阪城があり、こちらもミナミ同様、インバウンド客でごった返している。大阪城は石垣や濠が圧倒的に立派でザ・ジャパニーズ・キャッスルという感じであり、外国人にはウケがよいのだろう。
また、森ノ宮駅の北東側には市大と府大が統合された公立大学法人大阪の新しいキャンパスが設置される予定で、学生街のにぎやかさも生まれてくるだろう。
このように程度に差はあれ、キタやミナミ、ヒガシはインバウンド景気や国内景気の好調にも支えられ、再開発が進むなど、発展のペースを早めている。
発展からやや取り残された感じのあるニシ
大阪環状線の西側。”国際エンタメ都市”を目指すなら、このエリアは何とかしないとアカン。
最近は安い家賃とアクセスの良さから西区が人気やけど、まだまだ元気がない。 pic.twitter.com/idesDaE8FW— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) September 13, 2019
⇧”ニシ”が指す地域のイメージ
大阪環状線の東南北に比べると、西側(ニシ)の発展度は物足りないといわざるを得ない。
九条や弁天町、西九条、大正、といった大阪では知られている駅はあるものの、駅前には寂しさが漂う。
阪神なんば線と大阪環状線、夢咲線が交わる西九条駅。1階にある商店街の「ゴールドタウン」はわずか1店舗しか入っておらず、何たる皮肉な名前。
駅出入り口からは、令和になっても昭和の香りが漂ってくる…(笑) pic.twitter.com/ukyDW0dHGx— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) September 16, 2019
上は筆者のツイートで西九条の様子。
駅下の商業施設「ゴールドタウン」にはお店が1店舗しか入っておらず、フォローワーさんの表現を借りれば、”ゴーストタウン”状態だった。
しかも、大阪市が整備したとみられる駅前の男女兼用トイレは中が丸見えで、究極のジェンダーフリーだった。
これは冗談抜きで令和の時代には不適格だ。
ニシは、安い家賃・梅田難波へのアクセスが良いなど、ポテンシャルは高い
筆者作成の粗末なマップ
上は西九条と九条、弁天町の簡易なマップだ。
黒い円:大阪環状線、緑:中央線、オレンジ色:阪神なんば線(+近鉄)である。
阪神とJR環状線が交差する西九条駅
しかしあの小汚い駅前さえリニューアルして若い人が住みやすい環境を作れば、西九条は梅田まで環状線で5分、難波まで阪神電車で10分の場所にあり、ポテンシャルは高い。
古い街の良さを残しつつ、小ぎれいさや住みやすさという要素を加えて再開発すれば、「西九条」はかなり面白いエリアだと思う。
九条駅付近。地下鉄中央線が阪神高速にサンドイッチされている
また、京阪電鉄は今年の8月ごろ、中之島で止まっている中之島線を九条まで延伸すると発表した。
駅の構造上、中央線への直通は難しく新駅は地下になりそうだが、ニシからビジネス街である中之島や大江橋付近に新しいアクセス路線が生まれることになる。
その意味では、西九条のお隣にある「九条」のポテンシャルは高い。
弁天町駅前。IR(カジノ)まで中央線で一本という好アクセス
さらにニシよりさらに西に進めばベイエリアであり、IR(カジノを含む統合型リゾート)がやって来れば、カジノやホテルの従業員向けの単身住宅や観光客向けのホテル需要が多く生まれると予測される。
弁天町や九条は中央線で夢洲まで一本なので、利便性はかなり高く、それらの需要の受け皿になれること間違いないだろう。
キタやミナミだけでなく、今後はニシの発展が大阪にとって重要になりそうだ。
【追記】さらに言えば・・・
マンションの高層化の影響もあり、中長期的には、人口の都心集中がさらに進む。一方、郊外では便利な駅チカ以外は人が減っていく。
だから、関西経済の核となる都心の魅力を高めることはとっても重要。そこで「環状線の西側をどうしましょうか?」という問いにぶつかる。
— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) September 13, 2019
筆者のツイート。さらに言えば、大阪を含む関西圏は人口減少社会に入っていく。
今大阪では、郊外で人口が減少し、大阪市内で人口が増加する現象が起きている。
エネルギーが都心に集中しつつある。それは当然のことで、利便性の高い都心に住みたい人が多いのは必然だからだ。
大阪市域は関西経済の核であり、この地域の競争力をアップさせることが関西の今後にもつながってくる。その中でもニシは発展から遅れた地域であり、ここをどうにかするか否かで大阪全体の将来も変わってくるだろう。
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