インバウンドが将来的に大阪で発揮するであろう意外な経済効果

外国人観光客(インバウンド)

かに道楽のカニ。時々、意味不明なPRの横断幕を着用させられています

大阪は日本の中でも最も繁盛しているインバウンド(外国人観光客)市場だと言われる。

普通は首都機能がある都市(日本なら東京)が知名度もあって圧倒的に有利なはずだが、東京に対して大阪の訪問者数はかなり肉薄している。

下で、東京と大阪を訪れる外国人観光客数をグラフで示した。

 

出典:観光統計調査(大阪府)、平成29年訪都旅行者数等実態調査(東京都)より筆者作成。

東京都の2018年度の数値がなかったのでグラフはないが、大阪が急激に伸びていることは見て取れると思う。

2013年は大阪263万人、東京681万人と約2.6倍差があったが、2017年には大阪1110万人、東京1377万人と約1.3倍ほどまでに縮まっている。

2018年は9月に関空が水没して大阪のインバウンドは壊滅したため伸び率が低迷しているが、2019年は伸び率が改善されると予想されている。

まあそもそも関空があれだけダメになっても、前年越えになったのは驚きだが・・・(笑)

 

IRや万博でインバウンド向けに活発な大阪だが、今後、東京の外国人観光客数を追い抜く日は遠くないだろう。

関西圏には大阪だけでなく、京都や奈良、瀬戸内(最近観光地として少しずつ注目されてきている)など、観光資源の鬼みたいな都市が沢山ある。

逆に関東がどうやって勝てるのか聞きたいぐらいだ。

 

さて、インバウンドは日本人の国内旅行客よりも滞在期間が長く、買い物需要が旺盛であることから、儲かるビジネスと言われている。

確かにそれはその通りなのだが、インバウンドはそのような短期的なメリットだけでなく、長期的に見てもメリットがあることを指摘したい。

『うめきた2期』が持つ圧倒的なポテンシャルとは

カジノIRの整備方針延期の事実から分かる商都・大阪の致命的弱点

記事の内容を要約!

・インバウンド(外国人観光客)の利点は消費などの経済効果だけではない

・来阪した外国人観光客は、将来的に大阪にビジネスの拠点(本社など)を引っ張ってくる可能性がある「金のたまご」である

・10年先を見越して海外企業の大阪進出を支援できる体制を整えるべし

インバウンドは外国人企業家との関係づくりでもある

一度訪れたことのある観光地には、何か親近感を抱くことはないだろうか?

あなたが過去に訪れた海外の観光地を想像してみてほしい。

 

私は以前香港・マカオに数日旅行に行ったことがあり、それ以来、時々ネットニュースで流れる香港の情報は少し気になってしまうし、少し親近感を感じる。

海外に行ったことがない人であれば、例えば、過去に訪れた国内の観光地を思い浮かべてほしい。

やはり一度でも遊びに行った観光地は少し意識してしまうし、何か大きなイベントや事件があれば気になってしまうだろう。

 

これは来阪してくれる沢山の外国人の方にとっても同じだ。

やはり一度旅行した観光地には親近感を抱くし、気になってしまうだろう。

 

将来、彼らが所属する会社の事業が軌道に乗って日本に初進出するとき、進出候補地はどこになるだろうか?

大阪や東京を旅行した人は、「日本進出しよう」と言われてすぐ頭に浮かぶのは大阪と東京だろうし、少なくとも名古屋は選択肢に入りえない。

さらに言えば、何度か大阪観光に来ていて、東京よりも大阪の人々や食文化に親近感を持っていたとするなら、日本初めての支店を大阪に置こうとするのは自然なことだろう。

 

つまり、今LCCに乗って来阪している中国や韓国、東南アジアをはじめとするアジア諸国の若者たちは、将来、大阪に新たな風をもたらしてくれる可能性が高い。

 

損得勘定で考えれば、お金を落とさない若者の観光客より富裕層に投資すべきだという味気ない結論になるが、彼らは将来の大阪にとって金のたまごになりうるのだ。

 

アジアの諸都市は成長が著しいが、大阪はまだまだ人口が多く(府だけで約880万人)、所得水準も世界的に高いため、魅力は十分ある。

だからまだまだ日本市場に魅力を感じる外国企業は多いし、大阪(関西圏)もその一つなのだ。

 

因みに本社機能はマーケットが大きい地域に引っ張られる傾向がある。東京に本社機能が集まった理由の一つだ。

アジアの都市よりも大阪での売り上げ規模が大きければ、その市場規模につられて、本社を大阪に移すという可能性も出てくる。

まあ考えれば色々楽しいですね(笑)

 

今の活況を考えると、将来、大阪に拠点(営業所や本社)を置く外国企業が増えるだろう

コテコテカンサイベンイングリッシュで大阪を解説するおばちゃんが有名らしい

インバウンドは単なる観光業で、買い物や体験をしてもらってお金を落としてもらう。そしてリピートしてもらって何度もお金を落としてもらう。

それでも十分ではあるが、都市戦略としてはもったいない。

 

インバウンドは今後50年間の将来に向けての関係づくりの産業である。

大阪が外国人観光客で溢れるようになってまだ数年しかたっていないので始まったばかりだが、今後、10~20年で海外企業の支店が大阪に置かれたり、スタートアップの日本初進出が大阪になることは次第に増えてくるだろう。

それは今後(いい意味で)避けられない傾向になっていくはずだ。

 

引用元:第 51 回外資系企業動向調査(2017 年調査)の概況(経済産業省、PDF)

外資系企業が少ないと言われる大阪。

2017年3月末の調査では日本に拠点を置く外資系企業3,217社の中で、大阪はたった172社しかなく、全体の5.3%であった。

神奈川(横浜)にすら負けている惨状である。なんたる状況。

一方東京は2167社が拠点を置き、全体の70%近くを占めている。

 

実際、大阪で起業する外国人が急増している

上は筆者(大阪の未来構想)のツイートだ。

上のデータは記事を書いた後に見つけたもので、外国人企業家が急増している大阪の現状を証明するものとなっている。

2015年には規制緩和が行われた。具体的には、4か月間の在留資格が認めることで、事前の会社設立が不要になるなど、外国人が日本で起業するハードルが低くなった。

それにより関西圏では、外国人企業家が2015年には2021人だったが、2017年には3046人となり、2015年比で50.7%増加した。これは伸び率で北海道(53.7%)に次いで全国2位である。

 

大阪や関西を選んだ理由は、一つは東京に比べて地代(住居の家賃やオフィスの賃料)が安く、京都を中心とする伝統文化の魅力を上げる人が多かった。

また、鉄道網が整備されるなど、インフラ整備も世界的に高い水準にあることが評価された。

2017年度において、外国人企業家数は関西圏(3,046人)であり、関東圏(17,652人)に比べるとまだまだ少ないが、今後、関西圏はインバウンドを背景に、ますます増えることは間違いないだろう。

 

しっかり支援体制を整えておこう

外資系企業の受け入れにおいて足りていない部分は補強するなど、今から受け入れ態勢を準備しておく必要があるだろう。

まあ大阪府市には外部から優秀な人材が入っているので、このブログで主張しているようなことは既に対策済みだとは思うが・・・(笑)

記事は以上です。

『うめきた2期』が持つ圧倒的なポテンシャルとは

カジノIRの整備方針延期の事実から分かる商都・大阪の致命的弱点

.

コメント