統合型リゾートの島「夢洲」に延伸するメトロ中央線。本当に6両だけで大丈夫?

経済

2025年に大阪・関西万博が決定し、夢洲延伸も決まった大阪メトロ・中央線。

 

万博の開催を機に夢洲に延伸することにはなったが、万博は半年の開催であり一時的。そしてそれとセットでやってくるのがIR(統合型リゾート)である。

こちらは長期的な集客が見込まれており、中央線の延伸決定の動機は、万博よりもむしろIR(統合型リゾート)だといっても過言ではないだろう。

 

赤字路線が多くて苦労している印象が一昔前まであった大阪メトロだが(当時は大阪市営地下鉄)、中央線はスーパードル箱路線の御堂筋に次いで黒字を出している。

ちゃっかり有料ドル箱路線なのだ。

実際、通勤時間帯は当然のこと、日中であってもそこそこ混んでいている。

 

中央線と夢洲についていろいろ思慮を巡らしているとき、ふと思ったのは、IRができたら中央線は利用者急増でパンクするのではないかということ。

IRは外国人観光客をメインターゲットとしているので、大きなカバンを持っている人も多いだろうし、混雑が激しくなれば、日本人通勤客との摩擦も心配される。

 

ということで、今回は簡易な計算を駆使(?)しつつ、もっと想定される利用者数をはじき出してみた。

記事の内容を要約!

・IRの年間想定来場者数は2500万人。つまり、1日当たり6.8万人、1時間当たり2830人が来場する。

・中央線6両編成が1時間に8本運行されるとすれば、9時~21時のすべての時間で1両当たり58人乗客が増えることになる。

・将来的には増発か8両編成化のどちらかを行わないと厳しくなるだろう。可能性が高いのは8両編成化?

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IRの想定来場者数は年間約2500万人

大阪府が発表している2019年2月度のPDF資料(大阪IR基本構想(案))によれば、夢洲IRの年間来場者数は2480万人と推定されている。

内訳は・・・

ノンゲーミング施設(ホテルや会議場など):1890万人

ゲーミング施設(カジノなど):590万人

>>>合計:2480万人

 

1年で2480万人来場予定とすると、1年は365日であるから、平均すると1日当たり約6.8万人が来場予定だと考えられる。

※甲子園は大体1ゲームで4.3万人ほど来場するので、甲子園より約1.6倍大きい集客施設が大阪湾の夢洲にできると考えてよい。

すげえぇな(笑)

 

鉄道の利用は恐らく時間帯がばらけるだろうし、大きな国際会議やイベントがあれば、その時間帯の前後に利用者が集中するだろう。

だから計算しずらいところではあるが、便宜上、朝の9時から夜の9時まで、つまり12時間の間にばらけて乗車するものと計算する。

 

つまり1時間当たりの鉄道利用者数は、6.8万人÷12時間≒5670人である。

ただし今回はJRの夢咲線も延伸する予定で(※万博には間に合わない)、利用者が半分にばらけると考えれば、中央線の1時間当たり利用者数は(5670人÷2=)約2830人となる。

 

中央線はラッシュ以外は1時間8本

中央線駅構内の案内板。因みに、海遊館(左側)も夢洲移転を検討しているそうだ

次は中央線のダイヤを見ていく。

平日の朝晩ラッシュ時間帯は1時間に15本以上走っているが、それ以外はだいたい1時間に8本(7~8分に1本来る計算)である。

 

中央線は現在6両編成で運行されているが、電車の8両編成化が常に噂されている。

確かに現在ですら混んでいる状況を考えれば、8両化しても十分に需要はあるなあと感じられる。

ただ現時点では8両化実施の話は出ておらず、今回は全車両が6両編成として考える。

 

中央線の輸送量は、1時間当たり8本×6両編成=48両となる。

つまり、1時間につき中央線は48両分の人員を輸送できることを意味する。

 

朝9時から夜9時の間で、全車両の1両当たり60人弱が乗車することになる

1時間当たりの中央線利用者数は約2830人となる。

1時間当たりの中央線輸送量は48両となる。

 

つまり、朝9時から夜9時という時間帯で1両当たり、平均で58人乗客が増える計算となる。

1両のロングシートでは大体40~50席の座席があるので、計算上は夢洲発の長田方面行きの電車は、全て座席が埋まって立ち客が発生している状況になる。

 

対策は、8両編成化もしくは列車の増発

あくまで計算ではあるので正確な数値ではない。

利用客が全ての時間帯で均等に乗ることはないだろうし、恐らくホテル宿泊の夕方やイベント開始直前に利用客が集中するだろう。

時間帯によってはほとんど利用者がいない時間帯もあるかもしれない。

 

ただ、中央線はそもそも通勤路線であり、現時点で一杯である。

さらにそれに加えてIRの利用者を運ぶとなれば、殺人的な混雑が発生することは容易に想像がつく。

 

現時点で考えられるのは・・・

・① 電車の増発

・② 車両の8両編成化

 

恐らく外国人観光客は、本町(御堂筋と乗り換える)や森ノ宮(大阪城がある)など利用駅はある程度決まってくるだろう。

その区間さえ何とかできればいいのだが、やはり大阪の東西軸を担う中央線が6両編成では心許ない。

長田より東側でつながっている近鉄ゆめはんな線が、8両編成に対応しておらず調整が難しいと聞いた。

 

8両編成化以外の方法としては、列車の増発が考えられる。

例えば1時間に8本しか運行されていないダイヤを、1時間に10本に変更するなどである。

ただしこれにも難点があり、近鉄や京阪が有料の特急列車を中央線に乗り入れる予定で、各駅停車の本数が増えるとトンネル内を早く行くことができず、詰まってしまう。

 

中央線のホームは将来的な8両編成化に対応できる設計になっているところが多いので、個人的には増発より8両化の方がベターだと考えている。

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コメント

  1. より:

    400系、30000A系で8両化の後
    8両運転可能な谷町線に転属されるので8両化は十分にあると思われますね

  2. Muuu より:

    6両が車両限界じゃない無いんやから大丈夫では?
    それよりも、今後広域になる路線を念頭に
    快速運転をするための待避設備が少ない方が心配。

  3. 影ボーシ より:

    中央線の延伸では南港まで乗ったことがありますが・・スピードも遅く長く感じました。ワールドトレードセンターのアウトドアショップも無くなってしまいました。ハイアットリージェンシー大阪の撤退といい夢洲の集客性は、あまり期待できないと思います。
    やはりJRゆめ咲線(桜島線)延伸大阪駅直通でないとかなり苦しいと思います。
    (WTCビルが見えるものの迂回させられ車で行ってもあのあたり不便なんですね・・)