有望なIR候補地の横浜。しかし民意の反対という大きな爆弾も背負っている

国内きっての有名観光地・横浜（手前には海保の巡視船）

IRの候補地3カ所という数に限りがある椅子に座るため、各地の自治体は誘致合戦を繰り広げている。

トップランナーとされているのは大阪で、その後に続く長崎や和歌山などが積極的に誘致していたが、数日前に横浜が誘致を表明し、潮目が変わった。

今年8月の上旬ごろまでは、態度が煮え切らない首都圏の横浜や東京のお台場を見切って、サンズ（アメリカ）やメルコリゾーツ（香港）といった企業は、大阪に注力する方針を表明していた。

しかし、22日に林横浜市長が誘致を表明すると、サンズは横浜や東京へ進出先を変更した。また、「大阪には参加しない」という趣旨の発言までしている。

よく指摘される通り、横浜は国内外の観光客が3420万人（※2018年）もやってくる巨大観光地であり、後背地には東京を中心とする首都圏人口を抱えることから、マーケットとしての横浜の魅力は非常に高いとされている。

また、IR建設予定地である山下埠頭の南側にはみなとみらい線の元町中華街駅が立地し、首都構想区で直接羽田空港と繋がっているなど、アクセスとしても十分な優位性がある。

筆者はそのまま横浜は突っ走っていけるのだろうと考えていたが、政治的な観点から見れば、上手くいく点ばかりではない。

むしろIRの候補地・横浜が抱える潜在的なリスクは非常に大きいものだといえる。

次の横浜市長選(2021年)で、IRは中止凍結される可能性がある
次回の市長選(2021年)までに民意が変化するかどうか

次の横浜市長選(2021年)で、IRは中止凍結される可能性がある

①　筆者のツイート

大阪には耳が痛い話やけど、受け止める必要アリ。因みに関空の位置が盛大に間違ってるあたりは「ん？大丈夫？」となるが(笑)

夢洲IR、大阪は何を間違ったのか : カジノ合法化に関する100の質問 https://t.co/duAxLZVNJy

— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) August 27, 2019

上は私のツイート。記事は大阪のIRの失敗点や弱点を指摘するもので、大阪人としては耳が痛いが、なるほどというものもあった。

すると上山信一氏（大阪府市の特別顧問を務めている方）から以下のような指摘があった。

②　上山氏のツイート（返信）

一方で横浜市は次の市長選で絶対にカジノが争点になり、賛成した候補者は落選リスクが高くなる。だから全候補者がカジノは白紙、凍結というはず。だから、横浜にはカジノはできない。林市長が後出しで市民を裏切った瞬間、誘致は無理になった。それが外資にはわからない訳です。 https://t.co/q4LBuz26Fo

— 上山信一 (@ShinichiUeyama) August 27, 2019

※ツイッターの利用規約に基づきツイートを表示しています。

③　筆者のツイート（返信2）

ムムム。シンプルな疑問ですが、IRの凍結は、次の横浜市長選挙（2021年）までに間に合うんでしょうか？既に候補地3つは決まってるような… https://t.co/2OJBWdmIzt

— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) August 27, 2019

分からず質問。次の横浜市長選は2021年を予定している。

IRの候補地3カ所は既に決定されているはず。その後から「中止」「凍結」を表明することは可能かということ。

④　上山氏のツイート（返信3）

市長選で必ず、白紙撤回を掲げる候補がでるし、林さんは次出ないだろう。だから職員も士気が上がらない。議会も荒れて、結局、次の市長が止めにかかるのではないか。推進派の後継候補が勝った場合は進むが人気あるそういう人は見当たらない。また出ても通らない。だから、横浜市はもう詰んでる。 https://t.co/RX8M6FuHqI

— 上山信一 (@ShinichiUeyama) August 27, 2019

恐らく候補地が決まった後でもストップできるということだろうか。

反対派が過半数以上の横浜では、候補者は次期市長選挙で「IRのストップ」を訴えるため、結局次の2021年の選挙でIRは中止・凍結になる可能性が高いということだ。

混乱の一番の原因は、2017年の選挙時に掲げた「白紙状態」から突然に「IRの誘致」へ方針転換をした林市長の決断だろう。

これが仮に、2017年の今回の市長選挙の時、「IRの誘致を考えています」「統合型リゾート誘致には財政面から賛成です」などと訴えておけば、ここで齟齬が生じることはなかった。

恐らく一般市民からは、裏切られたという感情を抱く人が多く出てくるかもしれない。