大阪都構想の反対多数を受けて

大阪の未来構想

勝利会見を行う大阪自民。
反対しかしない彼らが本気で大阪のために政治をしてきたのか
大変疑問です

2020年11月1日、大阪都構想は否決された。

私は正直、ほぼほぼ通るだろうと思っていた。頭の中の数字でいえば賛成50~55%程度である。

本当に大丈夫かと一部不安の声も頂いたが、私は通るから心配いらないですよなどと安易に答えていた。

だから午後8時開票が終わった直後、賛成と反対がほぼ5050の出口調査結果を見たときは相当ショックだった。

テレビでは開票状況がリアルタイムで進み、確か11時ごろ?に開票途中で反対多数の結果が出た。

ただ呆然とした。

 

客観的に見たときに、これは間違いなく大阪にとっては後退となる。

大阪万博やIR、副首都構想も含めて全てこの都構想がベースとなっていたので、今後どうなるのだろうかというのが正直な感想である。

約半分の有権者は「賛成」に入れている

大阪の将来に期待していた人々からは、やっぱり大阪はダメだとか批判の声が聞こえてくる。

私も一大阪市民として確かにその通りの点もあるし、都構想の理念を受け入れられず、賛成多数に持っていけなかったことは申し訳ないと思う。

ただ、あれだけメディアでネガキャンをされ、毎日新聞には218億円の誤報をされ、大量の反対高齢者を抱えながら、大阪市民の半分は「賛成」と投票した。

 

私は東京都に住んだことがあるので千代田区や新宿区といった特別区はどういったものか分かるから、特に抵抗感はない。

しかし、経験したことがないずっと大阪に住んでいる市民にとっては未知のものである。さらに反対派は住民サービスが下がると連呼するものだから、本当に大丈夫か不安になるのも仕方ない。

それでも不確定な未来に対して、その可能性を信じて、67.6万人の大阪市民は「賛成」と答えた。

この事実は変わらないものであるし、誇りに思ってよいのではないかと思う。

 

大阪が変わらないと、今後日本は本当にダメになります

五代友厚。大阪は高い志と情熱を持つ人々の尽力よって何度も蘇生されてきました

良いことも悪いことも大阪から始まる」という名言は、確か故堺屋太一さんのものだったと思う。

文字通り日本国内では良いことも悪いことも大阪から始まることが多いという意味である。

確かに、東京一極集中の弊害を真っ先に受けたのは大阪であった。大阪万博前後からその影響が強まり、法人の流出と税収の減少、生活保護受給者の増加、治安の悪化などが連鎖する”大阪問題”が発生した。

 

一方良いこともある。例えば、明治時代の日本の近代化は大阪から始まった。

1882年、三軒家に渋沢栄一らがリーダーとなって紡績工場(大阪紡績株式会社)が建てられたことが始まりである。

その当時、互いに知らないもの同士が資金を出し合って企業を作る株式会社の仕組みは新しいものであり、当時の資産家は株式会社という未知のものに資金を投じた。

不確実なことにチャレンジした点では、今の都構想をめぐる状況と同じかもしれない。

大阪はその後、近代産業が目覚ましく発展し、1920年代には東洋のマンチェスターと呼ばれる黄金期を経験した。

因みに、1919年、大阪と兵庫県合わせて全国のうち約33%の工業製品出荷額があった。今の愛知県が約14.7%であるから、今でいえば愛知県2個分以上あることになる。

日本の富国強兵の”富国”の部分は、大阪や神戸を含む関西圏なくしては成し遂げられなかったと言えるだろう。

日本の植民地化を左右させるほど、大阪という都市は重要なのである。大阪の復活はローカルレベルの問題ではないと思う。

 

さて、今の日本もアベノミクスで大分マシになったものの本質的な改革は進まず、失われた30年が続いている。

今後100年、日本が中長期的に世界で生き残っていくためには、大阪の力が必要になるはずだ。

中長期的な視野に立てば、発展の比重がアメリカから中国などの東アジアに移り、経済の比重が大陸側に西へ西へと動く。

日本列島でも国際情勢に合わせて、西に比重を移らせないといけない。

また、AIや機械化がますます進み、労働を強制されない社会が誕生したとき(ベーシックインカム)、規律や秩序を重んじる政治的な性格を有する都市に加えて、自由さを認め個性を伸ばす大阪のような商業的性質を持つ都市の重要性が増すだろう。

(何十年後か分からないけれども)そのような時代が到来したときに、大阪が死んでいたら日本は本当に終わりである。

ラテン的気質、アジア的自由さを受け入れ発散する場所がなくなるからである。

 

やっぱり様々なコトを考えると、大阪を捨ててしまうのは早すぎると思う。

確かに2度目の都構想で負けてしまったのは痛恨の極みだけれども、あれだけ住民サービスが下がると煽られても約半分の人は「賛成」に入れた。

この都市の半分の住民は、変わりたい進みたいという意志を持っている。

 

もし大阪が「もうアカン」と諦めたら、地方自治の希望は本当に潰えてしまう。あとは東京一極集中と地方交付税にすがる地方という悲しい構造しか残らない。

別に今の大阪府市の連携構造は残るわけだし、一度投げやりにならずに考えてみた方が良いでしょう。

まだまだ解決の糸口はあるはずである。

コメント

  1. ghost より:

    やはり「大阪市のお金が市外に流出する」という不安が大きいでしょうね。とくに今回も反対多数に回った市内の貧しい地域は。

    2つ解決法があると思います。
    一つは貧しい地域を富裕な地域のように栄えさせて不安を取り除く。
    二つめは、賛成多数地域を独立させて新たな普通の市とし(梅田市?)、反対多数地域は政令市大阪市として残るけど半分は都構想を成立させてしまうんです。
    上記の不安と向き合わずに上から理想を押し付けるのは難しいです。となれば前者のように徹底的に寄り添うか、後者のようにもう戦いを避けて実利を半分ですけど心を鬼にして取ってしまうのが現実的ではないでしょうか?住民投票で示された民意も有効活用出来ます。

  2. stlouisstar より:

    千代田区と新宿区なんていう高所得の区を例に挙げて 特別区制度を知った気になられても…。
    北区は?板橋区は?足立区は?
    たとえば子育てにおいても保育料なんか区によって全然違うんですよ。
    また東京は特別区制度だから栄えているのではありません。
    首都だからです。首都だから企業が本社を置いているのです。
    いまだに東京市のままであってもそれは変わらないでしょう。
    1943年の戦時法制で特別区にされただけです。都民が望んでなったものではありません。

    • 大阪の未来構想 大阪の未来構想 より:

      えーっと…文章をお読み下さい。議論以前の問題です。回答は下記の通りです。

      ・区名
      →大阪に住んでいる人にでも分かりやすい区名を挙げただけです。本旨は”特別区とは何か体感している”です。
      ・”東京は特別区制度だから栄えているのではありません。首都だからです”
      →妄想で主張を膨らますのはやめてもらってよろしいですか?もう一度文章を読みましょう。

  3. ななし より:

    都構想否決は本当に残念です。こうなってしまった以上、今後大阪は自民党の掲げる大阪政令市プランに舵を切るのでしょうか?そのあたりのお話も一度取り上げてもらいたいです。維新にはせめて副首都構想だけでも実現させてもらいたいです。

  4. kosei_yumewaka より:

    11月1日深夜の報道ランナーSPでの橋下さんの「公明党に衆院選の議席を譲る代わりに
    住民投票に賛成してもらった」という発言について どう思われますか。
    維新と公明は都構想に対して理念ではなく政党間の駆け引きで手を組んだということが
    橋下さんによって暴露されました。これに対して都構想を真に素晴らしいものと
    考えていた賛成派の人たちは憤慨すべきではないでしょうか。
    大義や理念がなく 互いの損得で手を組んだのでは賛成の訴えに説得力があるはずもなく
    公明支持者の半分強が反対にまわったのも無理からぬことでしょう。

    また橋下さんは政治は駆け引きや多少の騙し討ちは問題ないと以前から言っていますし
    維新がこの取引を問題ないと考えているなら なぜ住民投票で公明が賛成に転じた経緯を
    大阪市民に知らせなかったのでしょうか。やはり後ろめたさを感じている、というよりこんな
    内実が明るみに出れば賛成支持など到底受けられないと本心ではわかっていたからでは
    ないでしょうか。表面上は理念で結びついたと見せかけねばならないと思っていたからでは?

    反対派への文句ばかり言ってないで そろそろ「味方サイド」への批判や苦言を行うことを
    考えてはいかがでしょうか。世の中の全ての物事がそうでしょうが 何かで負けたり失敗したり
    したことを相手や周りのせいばかりにして 反省や自己批判のない者に発展や前進はないと
    思いますよ。

  5. 名無し より:

    よそ者ですが、大阪都構想には反対です

    反対されてスッキリしました

    なぜ反対かというと、二重行政がそこまで問題か?と疑問になってるからです

    もし二重行政がそんなに問題ならば、福岡なんか地獄、いや既に深淵ですよ
    だってあっちは「三重行政」ですから

    あとIRや副首都も反対です
    IR:ただでさえ娯楽だらけの大阪で、これ以上娯楽増やしてどうする、カジノは娯楽の少ない島根や宮崎に作るべきだ
    副首都:経済規模が2番目の都市圏だから大阪を副首都にとか単に安直すぎる