2037年に全面歩道化?御堂筋はこれからどこに向かっていくのだろうか

大阪の未来構想

 

大阪の梅田から難波を結ぶ大動脈である御堂筋。

道幅が44メートルもあり、6車線一方通行の道路が南北にまっすぐ伸びる様子は他ではなかなか見られない。

 

そんな大阪人が愛する御堂筋が、数年以内に歩道化するという方針が大阪市から上がってきた。

 

計画の概要

まずは側道2車線から歩道化が進む

御堂筋の歩道化は2つのステップに分けて進められる。一つ目は側道を歩道化すること。そして次のステップではメインの4車線を完全歩道化することだ。

 

① 側道歩道化

引用元:御堂筋 将来ビジョン (案)

側道の歩道化は、まずインバウンドで歩行者数が増えているミナミのエリア(道頓堀川~千日前通り)から始まる。タイムリミットは東京オリンピックが開催される2020年だ。

約4キロの御堂筋全体から見れば、数百メートルという短い距離のエリアだ。半実験的な側面があり、ここで自動車交通への影響を確認し、改善点を探っていくのだろう。

 

そして道頓堀川以北は、2025年の大阪万博を目標に整備する予定だ。

こちらは先行導入したミナミの経験を活かし、自動車も歩行者にとっても使いやすい道路整備が期待できるだろう。

つまり情報を整理すると、大阪・関西万博が開かれる2025年までに、側道2車線はキタからミナミまで歩道化されることになる。

 

② 全面歩道化

引用元:同上

あまりに衝撃的なイメージ図なのでコメントは後ほどすることにする(笑)

現在の御堂筋が完成したのは1937年であり、全面歩道化計画は完成100周年(=2037年)を目標としている。

これまで自動車が通っていた場所を完全通行止めにするので、これには周辺の一方通行道路である松屋町筋、堺筋、四つ橋筋などを含めた交通システムの再編が必要になってくる。

 

車から人中心の社会になりつつある

御堂筋の側道歩道化、そしてその先の全面歩道化を推し進めるベースとなっている思想は、車中心の社会が終わりつつあるということだ。

 

引用元:御堂筋の道路空間再編について(案)(大阪市)

上の画像は本町と新橋(長堀通りと御堂筋の交差点)の自動車の交通量を表したグラフだ。

昭和40年代から、本町・新橋ともに自動車数は減少傾向で、全体で40~50%ほど減少している。

今の若年層は自動車を持たない人が多く、自動車に乗る機会が減る高齢者も増えており、今後も御堂筋を通行する自動車数は減少傾向は続くと思われる。

 

引用元:御堂筋の道路空間再編について(案)(大阪市)

一方、歩行者数は自動車の逆の傾向が出ている。

近くに船場がある本町では3.8万人から1.9万人に減少しているが、インバウンドで賑わう心斎橋筋商店街が近い新橋周辺は歩行者が増えている。

その数は何と3倍以上で、0.8万人から2.6万人に増加している。

 

なお、自動車の数が減少する傾向は御堂筋に限った現象ではなく、大阪を含む都市部では全国で広く見られる現象だ。

また、大阪を中心とする関西では近年、外国人観光客が増加を続けており、歩行者数が増加している。そのような歩行者ニーズに応えるだけでなく、イチョウ並木が整然と並んだ広いストリートを作り出すことで、観光地としての魅力をアップさせることも狙っているのだろう。

 

全面歩道化は恐らくコンセプト

全部歩道化してまう感じ?(笑)

ここからは筆者の想像になるが、側道の歩道化は現実的にも十分可能であり、こちらは実際に実施していくだろう。

しかし、全面歩道化はかなり前衛的すぎて、打ち出した側の大阪市もこれから検討していく段階だ。

これは綿密に調べて実行可能だから打ち出したのではなく、実現可能かはまだ分からないがあくまで未来の御堂筋のコンセプトとして打ち出したものであろう。

 

実際、将来やってくる車中心の社会を見越し、幅44メートルもある御堂筋が建設された当初は、そんな巨大な道路は必要なのかと疑問視されることもあった。

しかし大阪経済の成長が進み、都市の規模が大きくなってくると御堂筋は6車線というスペックを大いに発揮するようになった。

全面歩道化という方針はこのような御堂筋の歴史を重ねたものであり、将来の歩行者中心の社会やさらなる外国人観光客の増加などを見越して打ち出されたものとして考えるのが妥当だろう。

だから実現不可能とか批判するのはまだ早く、とりあえず2面歩道化が完成する大阪万博の時期に再度検討するぐらいがいいのではないかと思っている。

 

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