大阪都構想は人口が減少しつつある大阪にピッタリな制度だ

政治行政(都構想など)

大江橋から撮影した宵の中之島

大阪府と大阪市は、毎月1日時点の人口推計をHPに掲載している。

下には当サイトのツイートを掲載した。

大阪市は前年5月に比べて約1.3万人人口が増え、一方、大阪府は0.3万人減少している。大阪府は大阪市内の人口増も含まれているので、大阪府は実質1.6万人の減少となる。

人口が減ると残念な気分にはなるが、日本では特に地方部で急激に人口が減少しており、大阪はかなりマシな方だ。

 

大阪市内で人口が増えているのは、職場との近さなどの利便性を求めて都心に移り住みたいという需要が高まっているからだ。それに呼応して、都心部ではタワーマンションの開発があちこちで進んでいる。

これは俗にいう人口の都心回帰という現象だ。以前は東京で顕著であったが、最近は大阪都心でも同様の傾向になっている。

さて、まずは戦後~高度経済成長期にかけての大阪府と大阪市の関係を説明していこうと思う。

記事の内容を要約!

・今後大阪府では少しずつ人口が減少していき、都心部に人口が集中するようになる

・昔は大阪府が郊外、大阪市が市内をそれぞれ開発し、(良くいえば)役割分担できていた

・しかし現在、大阪府が郊外でニュータウンなどの開発をしても需要がなく、失敗する可能性が高い

・大阪府は市内の開発に投資をし始めている(夢洲開発やなにわ筋線など)

大阪都構想とは…府が市からカネを巻き上げるのではなく、府と市が一緒に市内(なにわ筋線や夢洲、うめきたなど)に投資をし、大阪経済を活性化させる制度である

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戦後、府と市は役割分担していた

戦後、焼け野原から立ち直り、経済が成長し始めると、大阪では人口が急増した。

全国各地から仕事を求めて大阪に労働者が流入し、一方で出生率も高く、子供もたくさん生まれていたため、今では想像ができない速度で人口が増えていた。

 

大阪市内は既に人や企業のオフィス、商業施設で一杯であり、土地が安くて比較的広く住環境が良い郊外(大阪府)に住宅地が広がることになった。

この当時、大阪府と大阪市は役割分担が出来ていた。

大阪府は郊外を、大阪市は大阪市内をそれぞれ開発し、(よくいえば)役割分担をしていた。また同時に、互いの縄張りについては互いに口を出さないようにした。

 

引用元:大阪―大都市は国家を超えるか (中公新書)(図5-3)

図を見ればわかる通り、面白いほど大阪府と大阪市の開発エリアは別々だった。

1960年、府は住宅開発を進めるために大阪府企業局を設置し、千里NTや泉北NT、堺臨海工業地域開発といった郊外の開発を行った。

一方、大阪市はベイエリアの開発(テクノポート大阪)や難波のOCATなど、市内の開発を進めた。

 

上のように大阪府と市が分担して大阪全体の開発を行い、それが上手くいくのは人口増加が続いている時代だけである。

近年は人口増加がストップし、大阪府全体でみると減少し始めている。今後は高齢化や少子化により、ますます人口は減ることが予想されている。

先ほど引用したツイッターのように、府が人口減少が進みつつある郊外で大規模なニュータウンを開発しても、住み手がつかず失敗する可能性が高い。

 

大阪都構想では、大阪府は大阪市内の開発に足を突っ込む

筆者の要約ツイート

2019年6月現在、大阪都構想の住民投票は2020年秋~冬にかけて予定されている。

大阪維新が2019年春の選挙で圧倒的勝利を収めたことを受け、大阪の公明党は住民投票容認の立場に回り、今後、都構想の制度設計について議論が進むと予想されている。

 

さて、ここで整理しておきたいのは、大阪都構想は「府市一体」で大阪全体の開発を行い、経済を発展させる制度であることだ。

ここでは「府市一体」は何を意味するのだろうか?

 

冒頭でも述べた通り、大阪では現在、人口の都心回帰が進んでいる。つまり、大阪府の郊外の人口は減り、逆に市内では人が集中しつつあるのだ。

そのような状況で大阪府が郊外の開発ばかりやっても、需要がなく、失敗する可能性が高い。

 

大阪維新の会は今の大阪の状態を「バーチャル都構想」と表現している。これは、仕組み上は大阪都構想が実現できていることを意味している。

都構想で大阪がどのように変わるかは、今のバーチャル都構想状態の大阪を感じることでイメージできると思う。

 

バーチャル都構想の具体例が、なにわ筋線である。

なにわ筋線は大阪都心を貫く鉄道路線のことで、必要だとずっと言われてきたが、4000億円ともされる莫大な建設費や複数の鉄道会社の調整などが難航し、20年以上議論止まりだった。

 

なにわ筋線計画が進んだ要因の一つは外国人観光客の急増で需要が増え、建設してもペイできる見込みが立ったこと。

次に、大阪市だけでは負担できなかった建設費用について、その半分を大阪府が出資したことが挙げられる。

 

上がなにわ筋線の建設費負担割合だ。

内訳では大阪府590億円、大阪市590億円、南海・JR330億円、国770億円、関西高速鉄道1020億円。

注目してほしいのは赤字の大阪府・市のところで、大阪府は、以前であれば市内のプロジェクトにお金を出さないのが普通だったが、大阪全体の経済効果を考え、590億円を市と折半して支払った。

 

詳しくは書かないが、IR(統合型リゾート)や万博がやって来る予定の夢洲開発も同じであり、大阪市だけでは難しい事業を、大阪府が資金的にバックアップすることで可能となった。

つまり言いたいことは・・・今後人口が減少傾向にある大阪では、ますます都心部に人口が集中傾向にある。そして大阪都構想は、大阪府が大阪市からカネを吸い上げるのではなく、都心に再投資することで、大阪市や大阪府全体の経済成長を推し進める政策であることだ。

 

いろいろ意見はあると思いますが、あくまで一つの意見として参考にしてください。

記事は以上です。

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