大阪と東京の違い。大阪という都市が持つ強みとは

 

私は生まれも育ちも大阪で、小さい頃は大阪市内に住んでいて小学校進学を機に北摂に住むことになった。

その後、大学進学を機に東京に上京した。一度東京に出ると生まれ故郷にはなかなか戻らないというが、現代日本の就活システムでは東京で就活した方が有利であり、私もその一人で東京の企業に勤めることになった。

そして数年前に大阪赴任することになった。

少し自分語りが多かったが、言いたいのは大阪と東京どちらの都市にも住んでみて、その都市やそこに住んでいる人が持つ特性や文化は違っている。そして、その点にこそ大阪が将来的に復活できるチャンスがあるように思う。

 

大阪では許されるのに、東京では許されないことがある

一般に、大阪は商人の街で、東京は役人や行政の街(もしくは武士の街)などと言われることがある。

確かにそうなのだが、それは実際どんな場面で感じられるだろうか?

 

「大阪人が東京に行って感じた違い」や「関東人が大阪で驚いた4つのこと」のようなまとめ記事が書く表面的な違いではなく、もっと深い根っこの部分。

上手く表現はできないが、大阪では、笑いを取るために奇抜なことをしようとしたり、ルール上ギリギリの行為もある程度許される雰囲気が醸成されていることがある。

 

論より証拠だ。以前、ツイッターで見かけて爆笑してしまったコンビニのトイレに貼っていた注意書きがそれを象徴していると思った。

 

① ブリブリ音

他の表現はなかったのか(画像は「hayato(@monster_s15)」さん提供)

引用元:hayato(@monster_s15)さん

これを見た瞬間、大阪人の香りがした。

どこにも笑いを取りにいくとは書かれていないし、注意書きの体裁を保っているのだが、これは確実にトイレの便器に座って用を足している客を笑かしにいっている。

「ブリブリ音」を3回も使っているあたりが確信犯的である。

 

注意書きには「関西」や「大阪」の文字は一切見当たらない。けれども、直感的に大阪だと思った。大阪人にはこの感覚が分かるのだ。この下品だがゲラゲラ笑わせようという作り手の意向が。

さて、実際どこにあるコンビニなのか調べると、大阪市内だった。やっぱり。

 

② G20 各国首脳 来阪

これもとち狂った動画だ。今年の6月下旬に開かれるG20の交通規制を告知するムービーだ。

確実に笑いを取りにいっているのは分かるが、このクオリティ(しかも大阪府警の威信がかかったG20の警備である!)でこくGoを出したなと(笑)

これを面白がって公式サイトにアップできる(してしまう)のは大阪だけである。

 

プライドがないといえばそれまでだが、この動画は職員が仕事の合間に作ったそうで、製作費はほぼゼロである。

しかしシュール過ぎると話題になってネットニュースで取り上げられ、累計で数百万回再生された。十分すぎる広告効果だ(笑)

 

③カリカリカリカリカレーパン

難波にあるセブンイレブンの広告だ。

あまりにシュールな光景でこちらも吹いてしまった(笑)。古い神社の柱に貼ってあるお札か!

数枚張るだけでは目立たんから、とりあえずあるだけ貼ったれという単純な発想だが、これは笑わざるを得ない。

 

そしてお客はジュースを買いに入ったはずなのに、このカレーパンやらが気になりすぎて買ってしまうことになるはずだ。

実際、店員に聞いた人がいるようで、あの広告のおかげでめちゃくちゃ売れているらしい(笑)

 

さて、これと同じことが大阪以外の地域でできるだろうか?東京で同じポスターが貼れるだろうか?

否。できないだろうし、そもそもこんな狂ったアイディアが浮かばないだろう。

 

恐らく店長がこの書き方は注意書きとして適切でないと判断し、アルバイトに書き直しを命じるはずである。また、お客さんからのクレームを考えても、掲示すべきではない。

だから大阪以外でこんな”確実笑いを取りにいっている≪お願い!≫”が掲示されることはない。

 

当の店長や店員はこれを面白がってやっているだろうし、トイレで用を足しているお客もブッと噴き出して笑っているに違いない。

ひょっとしたらクレームや問題になりかねない表現だが、店長としてはしてやったりなのだろう。

大阪では「アホやなこれw」で終わってしまう。

 

しかもこんなおふざけを肯定する文化すらある。

大阪には面白かったら(限度はあるものの)何をやってもいいという文化がある気がして、これもそのうちの一つなんだろうと筆者は感じる。

 

東京は行政都市。本質的にイノベーションに向いていない

行政都市・東京はルールを作り、ルールを真面目に守るのは上手いものの、こういった”常識”を突き破って何かをする点においてはやはり弱い。

確かに東京は日本各地だけでなく、世界各地から優れた才能のある人間が集まる。だからイノベーションも生まれる。

けれど東京の本質はやはり官公庁や政府諸機関が集まる行政都市なのであって、良くも悪くもルールを自ら作り出し、それに縛られる街なのだ。

 

よく「東京はマナーが良く、大阪はマナーが悪い」などと言われるが、それは良い面を切り取るとそうした表現になる。

逆にいえばルールや規則をしっかり守ることは、常識、慣習に縛られることも裏返しであり、イノベーションの妨げになりうる。

大阪は悪く言えばマナーが悪く(最近は前より良くなった)全体的に雑いのだが、突破力はある。

 

この突破力の点こそ、筆者が考える大阪の強みだと思う。日本各地に大きな都市はあるが、この笑いの感覚と突破力は大阪にしかない。

詳しいことはまた今度書くが、閉塞感や停滞感がある現在の日本において、大阪はその突破口になりうる。

規制緩和を府全域で認める特区やその先にある道州制によって、自由な経済活動が認め始められると、独特の発想と突破力が持ち味の大阪は、他の追随を許さない魅力的なプラットフォームとなるだろう。

以上です。

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