至るところに鹿がいるというカオスさ
関西には古都が二つもある。
一つは千年の都と呼ばれる京都で、もう一つは京都よりも古いみやこである奈良だ。
京都も奈良もどちらも修学旅行の定番観光地に選ばれるなど、日本の中でも有数の観光地として人々を集めてきた。
しかし最近は中国をはじめとするアジア圏から外国人観光客が急増しており、大阪や京都は大変ににぎわっている。
特に大阪の道頓堀周辺は外国人だらけで、日本人を見つける方が難しいという状況だ。
さて、京都や大阪だけでなく、最近2,3年は東大寺や大仏など世界的文化財を有する奈良にも数多くの外国人が訪問するようになっている。
2018年度に奈良を訪れた外国人観光客は265万人で、昨年比で33.2%も増加した。
関西の有望株である観光地の奈良。2018年の外国人観光客は265万1000人(昨年比33.2%)を記録して過去最高となった。ただ一人当たり消費額0.8万円は低すぎる(笑)。大阪は7.4万円。
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理由は(使いたくても)使う場所がないからだと思う。ホンマに鹿せんべい150円と大仏殿入場料600円、バス賃ぐらい。 pic.twitter.com/OnshB8RnHl— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) August 14, 2019
やはり実際に行って目で見て確かめることが大切ということで、青春18きっぷを使って奈良に行ってみることにした。
同じ関西に住んでいるためか最近行ったことはなく、10年ぶりぐらいの訪問となった。
至るところを歩き回る鹿。外国人大うけ
奈良県庁前の広場で涼む鹿たち
まるで空気のように、底にいるのが当然かのように、鹿たちがそこらじゅうを歩き回っている。
久しぶりに奈良に来た筆者はそのカオスっぷりに驚いてしまった(笑)。
奈良=鹿がいっぱいと知っている関西人の私でさえこれだから、外国から来た人たちはみなその状況に面白おかしさを感じずにはいられなかったようだ。
150円の鹿せんべいをすかさず購入する観光客
鹿の体をなでたり、横で一緒に写真を撮ったり、せんべいを買ったり様々だが、確実に大うけだった。
どこかのサイトの外国人の人気観光地ランキングにも、上位にランキングしていた奈良だったが、確かにこれは面白いだろうなと思った。
大仏殿へと続く途中にある東大寺の「南大門」
もちろん鹿だけでなく、大仏もあれば博物館もあるし、五重塔もあれば、世界最古の木造建築とされる法隆寺もある。
どれもレベルが高い文化遺産ばっかりで、満足度もかなり高いと思われる。
でも、お金をお落とす場所が少ない・・・
五重塔は拝観料を払わなくても見れてしまいます・・・
有名観光地としてのポテンシャルの高さがあるにもかかわらず、奈良に落とされるお金は圧倒的に少ない。
数値は三菱UFJリサーチ&コンサルティングの推計値だが、大まかな数値は間違っていない。
目につくのは奈良の圧倒的な消費額の低さである。外国人観光客が大阪府で一人当たり平均7.9万円使うのに対して、奈良では0.7万円・・・
たった7千円ですか・・・(笑)
ちょっとひどすぎませんか・・・
奈良はまだ京都や大阪と比べれば知名度は劣るものの、外国人からのウケは大変に良い。
ネットには奈良のポテンシャルを評価した記事が多くあるので参考にしてほしい。
しかしそれにしても奈良はその潜在能力をあまりにお金にできていないのではないだろうか?
奈良は日帰り観光地になっている
一人当たりの消費額がたった7000円という衝撃的数字になった原因の一つは、大阪や京都からの日帰り観光地になっていることにある。
つまり、ホテルの宿泊や買い物は大阪・京都で行い、日帰りで電車やバスで奈良にやってきて、数時間まわってその日のうちに帰ってしまうパターンである。
一般に宿泊しないと消費額は一気に減る。
ホテルに泊まれば宿泊費だけでなく、食事代や遊ぶお金、お土産など関連サービスを消費する傾向にあるからだ。
奈良は今後、最低でも一晩、奈良に泊まってもらう方法を考えることになるだろう。
引用:星野リゾート
星野リゾートは、東大寺からほど近い上の旧奈良監獄(2017年まで少年刑務所として利用されていた)を、2021年度からリゾートホテルとして営業することを発表している。
このように奈良にも独自性がある滞在機能が生まれれば、地域への消費額も増えるし、雇用拡大にもつながる。
星野リゾートは中心部近くにリゾートを作ったが、別に奈良は豊富な自然があるわけだし、十津川村の山奥にリゾートホテルを作ってもいいわけだ。
過疎地の山奥にホテルを作って成功した事例はいくつもあるわけで、せっかく観光客が市内に数多く流れてくるのだから、市外への導線を作らない手はない。
コメント
奈良県といえばキタの奈良市だけでなく、ミナミには邪馬台国の候補地として九州説との論争に勝利しつつある桜井市も商売っ気が全く無いですよね。その点佐賀の吉野ヶ里は貪欲だしアピールも上手いですよ。考古学的には完全勝利なのにそこは負けている。