やっぱり京都は観光やビジネスなどあらゆる点で強い
最近は日韓関係の悪化や韓国経済の減速から大阪を訪れる韓国人観光客は減少している(日本全体で同7.6%減の56万1700人)。
一方、一人当たり消費額では平均が153,029円であるのに対して、距離が近く滞在日数も短い韓国人は平均で78,084円しか消費しておらず、数の減少ほどダメージは受けないとの考えもある。
また、9月以降はラグビーワールドカップが開催され、一人当たりの消費額が高い欧米からの観光客増も見込まれ、大阪観光局では、2019年全体では昨年よりも多く着地すると見込んでいる。
さて、少し前に森記念財団から発表された日本の都市ランキングでは、京都が1位で福岡が2位、大阪は3位だった。
森ビルはあくまで私企業であり、会社のポジショントークもあるからその辺りは差っ引いてみる必要はあるが、かなり参考になる指標ではある。
その中でもNTTドコモのモバイルデータから得られた位置情報をもとに、各都市ごとの年間訪問者数を表したデータがあり、これが面白かったので紹介する。
観光スポットが分散している関西
引用元:日本の都市特性評価(概要版、PDFで少し重いです)
円の大きさは1年に訪問した外国人観光者数(インバウンド)。
他地域に比べて、関西は大阪(847万人)、京都(576)、奈良(233)、神戸(159)などに分散する傾向にある。
大阪と京都は滞在日数が2日以上で長い。この2都市を拠点とし、奈良や神戸に日帰りで遊びに行くスタイルが定着していると推測できる。 pic.twitter.com/i42TZewW2w
— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) September 15, 2019
筆者のツイートである。上の写真にある通り、 他の地域、例えば東京や名古屋、福岡といった都市は一極集中だが、関西だけは違っている。
関西は847万人滞在する大阪が最も多いが、その他京都も576万人と主要都市の中では3位に位置し、奈良233万人、神戸159万人と続いており、主要な観光スポットが都市間で上手く分散されているといえる。
また、色が濃いほど滞在日数が長い。大阪は濃青で平均して3日以上滞在している。京都はその次に濃く、平均で2~3日滞在していることになる。
その他、神戸や奈良、姫路は滞在日数が2日未満、つまり日帰り客が多いことになる。
関西を訪れるインバウンド客の傾向としては、大阪や京都に宿泊し、ここを拠点として奈良や神戸その他の都市に遊びに行く人が多いと推測できる。
大阪の国際観光地化は、周辺観光スポットの開拓にかかっている
小京都と呼ばれる金沢。観光地としてのポテンシャルは高い(写真はひがし茶屋街)
現状では大阪や京都、奈良、神戸といった関西の主要都市に観光客が集中し、例えば北陸の金沢や今注目されている瀬戸内といった地域はまだまだ不十分だ。
実数はもう少し多いような気がするが、まだまだ伸びしろがある地域であるはずだ。
大阪の観光戦略にとって重要なのは、大阪府内にたくさん観光地を作るだけでなく、その周辺地域にある隠れた魅力を発見し、観光地としての能力を発揮してもらうことだ。
大阪周辺に魅力あふれる観光地が増えるほど、その中心都市である大阪に訪れる観光客は増えるし、それが大阪の国際都市としての知名度アップにつながる。
これはよくある話で、周辺が発展するほど真ん中が一番発展するというワケだ。
IRは瀬戸内地域への重要な送客手段となる
大阪湾の一番西に位置する夢洲。本当に何もない
大阪のベイエリアの最西端にある夢洲には、2025年の大阪万博の前後には巨大なIR(カジノを含む統合型リゾート)が建設されるはずだ。
今のところ関西圏で最有力候補は大阪であり、この記事でも書いたが、大阪はほぼ当確だとみてよい。
IRには送客施設、つまりクルーズ船が着岸できるような船着場が建設される予定で、そこから瀬戸内を通って福岡などにクルージングすることが想定されている。
もしくは関空から降り立った観光客が夢洲のIRに宿泊し、フェリーで瀬戸内の島々をアイランドホッピングすることも想定できるだろう。
IRができて一番潤うのは実は瀬戸内なんじゃないかと考えているぐらい、面白い状況だ。
今後の大坂を中心とする関西経済は、IRの夢洲誘致が決まるかどうかと、その周辺地域の観光地開発が上手くいくかどうかに掛かっているといえるだろう。
コメント
滋賀には彦根城(国宝)、和歌山には高野山(世界遺産)もありますからね〜最強すぎるw
ところで、観光に限らず分散か集中かというのは今後の大阪や関西にとって重要だと思うのですが、どうお考えですか?大阪は府市合わせで今まで集中に力を入れて来ず(来れず)、東京はもちろん名古屋や福岡と比べて推進力が弱かったのは事実。しかし維新以後は府のパワーも市に注入できるようになりました。その一方で、堺や京都や神戸や奈良など大阪の周りで激しい人口減少が起こっています。しばらくは関西の中心として大阪の力をもっと強めることが必要だともちろん思いますが、長期的にはこの力を関西に広げる方向に持っていくことを視野に入れなければいけないと思います。
個人的に思うのは、今後梅田〜新大阪間が大阪や関西の心臓になるので、近距離移動拠点として役割も位置も、リニアや新幹線の新大阪と被る伊丹の空港は要らないと思うのです。あの土地は放っておいてもオフィス需要や住宅需要的にも重要な土地になりますし、それよりも神戸の衰退を防ぐためにも神戸空港にタスクを与えたい。もちろん梅田から神戸空港へのアクセス向上工事は必須。さらに言えば維新が神戸や兵庫へ勢力を伸ばす手土産とするタイミングでカードを切るのが良いと思います。
参考になるコメントありがとうございます。
あくまで私の意見ですが、各都市がそれぞれ切磋琢磨することが大切だと思います。大阪一強になるのか、力が分散されるのかどうかはその結果であり、まずは互いに全力で競争することです(最低限の協力も重要)。
空港はかなり意見が分かれるところで、特に伊丹は廃止か存続で分かれます。
私は…存続派です。伊丹は都心から近い都市型空港であり、昨年の利用者数1,630万人はその利便性の裏返しです。※神戸は300万ちょっと。
神戸空港はやはり大阪都心から遠く、兵庫エリアのローカル空港として地域を支える役割が理想的かと思います。
先程の話と繋がりますが、インバウンドで好調な大阪や京都など強力な競合が多い中、神戸市はどのポジションを取りにいくかだと思います。私の中では神戸の将来像はまだ分からないですが、大阪人から見ると、山と海が近く住みやすさは抜群だと思います。そこに何かプラスアルファできれば面白いと思います。
お応えありがとうございます。
確かに各都市の努力は必要ではあると思うのですが、やはりこれだけ交通が便利になると、明治に決められた隣接府県が別の都市というわけにはいかないと思うのです。同じ大阪ですが大阪都構想がそうですよね?政令市大阪や堺が大阪府と、切磋琢磨と言いつつバラバラでは効率が良くない。関西州もしくは大阪都市圏として考えることが必要で、そうでなければ東京都市圏や名古屋都市圏、もしくは世界の都市圏との競争には勝てないと思います。となるとどう考えても中心は大阪以外にない。周辺同士での切磋琢磨になるかと思います。
伊丹の利便性は確かに捨てがたい魅力…ただ貴重な北部大阪の土地を占有してるのも事実ですし、梅田や新大阪のビルの高さを圧迫してるのも事実。
神戸は京都と違って独自性が描けないですよね。住みやすいとは思いますが経済的に自立は難しい。もともと土地が狭く明治期まで寒村でした。大都市大阪の外港として発展した歴史があります。福原京時代も京都という大都市の外港。神戸を蘇らせるには伊丹空港のタスクを神戸空港が得ることだと思います。改善の余地がある梅田へのアクセスを改め、大阪の外港都市としての原点に立ち返り発展を図るのがベスト。