IR基本方針案に記載された”大阪条項”。大阪への誘致は”ほぼ当確”か

IR(統合型リゾート)

”大阪条項”

昨日の9月4日の午後2時に、政府はIR(統合型リゾート)の設置に関して、基本方針の案を示した。

以下はその内容をスライド一枚にまとめた概要である。

 

引用:基本方針案(概要)(総務省)

これまで推進法などで明記されていたことや政府関係者が発表していたことと大きく変わることはなく、従来通りの方針を再度まとめたものだった。

例えばIRは観光拠点を担う観点から、鉄道や船着場などの送客機能の充実を求めたり、マリーナベイサンズなど海外のIRとの競争を意識してか「世界最先端のデザイン」なども明記されている。

 

しかし、大阪にとって影響が大きい項目も含まれていた。

こういう流れでは大体ネガティブな情報が含まれていることが多いが、今回は大阪にとって良いニュースだ。(笑)

記事の内容を要約!

★2019年の9月上旬に総務省から「IRの基本方針(案)」が出された。

★IRの手続きは、国の決定より先に進めておいても問題はない旨の条文が挿入された。これは早期開業を望む大阪府市への配慮だとみられる。

★大阪しか望んでない条文をわざわざ入れるということは、大阪のIRは”ほぼ当確”の裏返しと言えるだろう。

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基本方針の公表前に準備を進めてもOK

万博とIRがハッピーセット(?)でやってくる夢洲

地方自治体が国の言うことを聞かず、勝手に物事を進めようとすると、政府(霞が関)は高圧的な態度に出ることが多い。

しかし今回は、何としても万博に間に合わせてIRを開業したい大阪府市の要望を認める形で、以下のような条項が加えられた。

 

(3) 基本方針が公表される前から進められている手続の取扱い

都道府県等による実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定は、基本方針に即して行われることが求められる。

他方、IR区域の整備の内容を優れたものとするとともに、IR区域の整備による効果を早期に実現させる観点から、都道府県等において、基本方針が公表される前から、実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定のための手続等を進めておくことも想定される。

この場合には、基本方針が公表された後に、都道府県等において、それまでに進めてきている手続等の内容が基本方針に即したものとなっていることを十分に確認するとともに、必要に応じて、実施方針の修正やそれに応じた民間事業者の提案内容の修正機会の確保を行った上で、実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定のための手続を完了するものとする。

引用:特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)(PDF)

法律なので長々と書かれているが、今回キーとなるのは上の条文の中でも下線部である。

大阪府が主張する文脈で読み替えるなら、「2025年の万博に間に合う形で開業し、最大限の相乗効果を図る観点から、大阪府においては、実施方針の策定や民間事業者の選定手続きなどを進めることが想定される」となる。

むしろ大阪以外に、これほど早期開業に前のめりな自治体はなく、大阪向けに挿入された”大阪条項”といっても過言ではないだろう。

 

なお、この条項が入るには大阪府市の職員がかなり努力したことが想像できる。

積極的に霞が関に働きかけ、大阪の立場とやる気を粘り強く説明する職員がいなければ、このような内容が認められることはまずない。

 

つまり・・・大阪は”ほぼ当確”といっても過言ではない

状況を深く読み解いていくと、一つの結論にたどり着くことができる。

つまり、”大阪条項”がわざわざ挿入されたことは、政府でも大阪府へのIR誘致を確実視していることの裏返しだということだ。

そもそも確実性が高くない自治体であれば、条文に特定地域に配慮した内容を差し込むことはないだろう。

この条文は”大阪当確”を判断する上で決定的ではないだろうか。

 

さらに言えば今回、以下のような条文も入っている。

さらに、IR区域の整備の推進に当たっては、IR区域を整備することの意義や、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除について、地域における幅広い関係者の理解と協力を得ることが不可欠である。

そのため、地域における十分な合意形成を図るために必要な枠組みが設けられている。

要はIRはギャンブル依存症の懸念もあることから、住民やその他関係者から幅広く支持を得ることが大切だと書かれている。

地域住民や地元の港湾組合の反対が根強い横浜にとっては逆風であり、今後も反対が続くなら確実に減点要素となる。

大阪はIRの誘致について、長年議論されていることもあり、地元住民の賛成度合いも高く、地域企業の反対も少ない。

その意味でも大阪へのIR誘致は確実度が極めて高いといえるだろう。

 

【参考】筆者のツイート

有望なIR候補地の横浜。しかし民意の反対という大きな爆弾も背負っている

統合型リゾートIRの候補地3カ所はどこがベストだろうか?

大阪はニシ(九条/西九条/弁天町)のポテンシャルをどう活かすべきか

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