うめきた2期がイノベーションの大拠点になるために足りないのは”ネットTV”だ

大阪の未来構想

うめきた2期イメージ図(竹中工務店資料より)

数日前まで仕事の都合で東京を訪問していた。

2年前までは住んでいたのでそれ程久しぶりというほどではなかったが、結構新鮮な感覚があり、山手線の内側を歩き回っていた。

特に見たかったのは六本木ヒルズ。

 

森ビルによって開発された六本木ヒルズ(甲冑をイメージしてデザインされた)

六本木ヒルズは大阪駅前に新しくできるうめきた2期においても参考にできる点が多い。

例えば六本木ヒルズはオフィスとマンションが近くにある職住近接のコンセプトをとっており、また敷地内にはテレ朝の中継でよく見る毛利庭園があって緑化という点でも面白い。

 

引用元:大阪市におけるイノベーションを促進するまちづくり(大阪市資料)

うめきたでも職住近接のコンセプトを取り入れられていて、北端と南端にはタワーマンションがあるなど、十分すぎるほど作られている。

また、みどりのイノベーションをテーマとしているだけあって、中心には約4ヘクタールの森林公園が設置されている。

筆者を含め大阪に住む人々はこれに期待している人は多いが、六本木ヒルズにあってうめきたには壊滅的に欠けているものがある。

 

六本木ヒルズにあってうめきた2期にないものは「情報発信機能」である

ヒルズの敷地に併設されたテレビ朝日のスタジオ

巨大な街として森ビルによって開発された六本木ヒルズには、ランドマークとなりオフィスが入居するタワーだけでなく、周辺にはマンションや商業施設、テレビ局などが入っている。

六本木ヒルズは全国的に知名度が高いが、それ単体ではこれほどにはならなかったはずだ。六本木ヒルズが有名になった一番の要素は、敷地内に情報発信拠点であるテレビ朝日があったからである。

敷地に全国ネットであるテレビ局があれば、朝夜の天気予報の中継など、事あるごとに六本木ヒルズという言葉やその風景が全国に届けられることになる。

その情報発信力があったからこそ、全国から優秀な人材や企業が集まり、ITベンチャーやその文化の拠点になることができた。

 

うめきたには情報発信施設はない

今のうめきた1、2期の設計図を見てみても、今のところはテレビ局などの情報発信機能を備えるといった記載はない。

目玉機能としては、イノベーションの拠点となる「ラボ」であるが、これは情報発信の拠点そのものではない。

 

在阪TV局やローカルラジオは筋が悪い

扇町にあるカンテーレ(あくまでイメージ図)

じゃあヒルズの真似をして大阪ローカルのテレビ局やラジオスタジオを入れてはどうだろうか?という提案があるかもしれない。

たしかに在阪テレビ局は、関西一円のあらゆる世代に情報発信をする点では優れた手段ではあるが、あくまで関西止まりであり、東京を含めた他の地域にまでは届かない。

やはり「大阪はたこ焼きとグリコのごちゃごちゃしたイメージしかなかった。でも、大阪駅前の一等地に都市公園があって、しかもイノベーションの拠点らしい。何か面白そう!」と全国各地の人に知ってもらわなければ、優秀な人材は大阪には集まってこない。

 

インターネットというイノベーションを使うべき

うめきた2期イメージ図。大阪にもこんな場所があることが全国に伝わらなければならない
引用:竹中工務店

これまでは日本全国のお茶の間に情報を届けようと思えば、在京のキー局(テレ朝や日テレ、フジ、TBSなど)を通らなければならなかった。

放送法の関係で在阪キー局は、関西エリアに限定されていた。仮に優れたコンテンツがあったとしても、大阪独自の力では日本中に情報を届けられなかった。

情報発信力のなさは、万博以降50年間続いた大阪衰退の一要因になった。

 

しかし、ここ数年でスマホの存在によって本格的にインターネットが普及し、優れたコンテンツ力があれば、東京のキー局なんてはるかに越えて全国に情報を届けられるようになった。

これを使わない手はない。

 

筆者はタイトルでネットTVと書いたが、あくまでイメージの話であり、YouTubeでもチックトックでも、インターネットを使って目で見える情報発信ができればよい。

具体的には有名YouTuberに住んでもらったり、ネット芸人を輩出してそこからうめきた2期を含む大阪の日常を発信してもらう。また、ラボという技術インキュベート機能を設置するのであれば、これもセットで発信すべきだろう。

※具体的な発信方法は今後考えていきます。

 

一般に新しくでた技術をうまく利用した人間は成功するといわれる。

例えばアメリカのトランプ大統領は賛否両論あるものの、ツイッターをうまく使いこなしメディアを通り越して直接有権者に主張を伝えることに成功している。

仮に大阪という地域が新技術であるインターネットをうまく利用し、従来のメディアの壁を軽く、全国や世界中へコンテンツを伝えられるようになれば、大阪の復活はすぐそこだと思う。.

コメント

  1. ckm より:

    「情報発信拠点」ってもう古くないですか?だってもはやスマホさえあればもはや個々人みんなが「情報発信拠点」なんですから。電波という特権を使って上からそこを無理矢理拠点化するのではなく、いかに下から集めることができるか否かが重要。

    それより、恥ずかしながら最近知ったんですがハロウィンブームって大阪のUSJが仕掛けて全国に広まったってマジですか?大阪に縁のある人だし、その仕掛け人を招聘してPR法を考えてもらったほうがいいのでは。

    wikiより

    ハロウィンの成功
    現在日本国中で賑わうハロウィンであるが、現在日本各地で行われている大人が仮装してゾンビ等のホラーで大騒ぎするスタイルを最初に大規模に仕掛けたのも森岡である。2011年に森岡がUSJで初めて行った『ハロウィーン・ホラー・ナイト』(en:Halloween Horror Nights)が現在の異様なハロウィンの盛り上がりのきっかけである。

    • 大阪の未来構想 大阪の未来構想 より:

      コメントありがとうございます。

      “拠点”はテレビ局やラジオスタジオなど従来型のメディアを指しているだけではなく、もっと幅広いものを指しています。
      極端な話、有名YouTuberが一人でも住めば情報発信拠点です。

      ハロウィンの話は知りませんでした。森岡さん?凄いですね。

  2. ckm より:

    もちろん理解しています。ただ、twitterで紹介されていた渋谷のYouTubeスタジオなるものを見た瞬間これは結局放送局ではないのかなと感じてしまったんですよね。YouTuberも結局突き詰めると入っている箱の種類が違うだけで芸能人な訳ですしね。というか最近は芸能人がYouTuberをやってる(笑)

    ハロウィンの話すごいですよね。放送局&芸能人はもちろん、YouTubeとインフルエンサーよりもさらに低いところで情報の発し手と受け手が成立してる。それは個人にとってもっとも信頼できるインフルエンサーである「知人」の範囲がスマホによって劇的に広がることが可能だからではないでしょうか。ここを狙いたい。それには単に人気のある芸能人やYouTuberに紹介させるのではなく、精緻な数学的アプローチが必要なのではないでしょうか。逆にいうとそれがあれば全国ネットの放送局なんか軽く圧倒できてしまう。USJが出来た当初は全国ネットでも紹介されてましたがなんの効果も無かったですしね。

    • 大阪の未来構想 大阪の未来構想 より:

      友達の口コミや投稿は昔以上に重要になっています。テレビで芸能人が(お金を貰って)いいね!というより、身近な知人が(インスタやフェイスブックで)投稿したものに影響されるというか。

      そうなれば一番王道のアプローチが不可欠になってきます。つまり、質の高い空間を作り出すこと。これに尽きます。
      大阪に出張に来たサラリーマンが、大阪の友達に会いに来た女子大生が、「ええ!大阪駅前って森林公園あってヤバいんだけど!」と投稿してもらえるか。

      有名インフルエンサーにお金を積んで協力してもらっても、一過性で終わってしまいますからね。ホンモノを創るに尽きると思います。

      よくよく考えるとその視点がインターネットの時代では一番大切なのかもしれません。

  3. ckm より:

    やばい、乱文がtwitterで晒されてる(笑)

    まさに質の高い空間になってもらいたいですよね。逆にそうでなければ知名度だけあっても意味がない。

    タピオカランドはあそこまで振り切ってると話題にはなるということが改めてわかりますよね。(期間限定なので、ある程度狙ってた…のか?)

    そういえば最近気になるのがタピオカブーム。あれ確かに10年近く前に台湾に行った時に割と気に入って、神戸の南京町に行った際は必ず飲んでいましたが、今思えばあれは僕もプチ・タピオカブームに罹患してたのかな??
    それ自体はたぶん前からあったのにここまで流行るとは…台湾には「質の高い」タピオカがあったということなんですかね?

    • 大阪の未来構想 大阪の未来構想 より:

      すみません(笑)
      一応コメントは公開されているものなので、ツイッターにも利用させて頂きました。

      正直、タピオカブームはよく分かりません。
      たびたびブームになるからには何かしらの魅力があるのは確かだと思いますが・・・(笑)