グランフロント大阪で5月にMGMが行ったIR展
最近は大阪のIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致合戦が熱い。
世界的なIR事業者であるMGMやメルコリゾーツは、既に大阪のIRに全力を賭けると公表している。
うおおおおー
激戦区の大阪・夢洲!
https://t.co/9xBVAneQQ3— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) June 18, 2019
さらに今回、IR事業大手のラスベガス・サンズも東京・横浜は行政の状況や住民の理解度という点から参入は難しく、エネルギーを大阪に振り分ける方針を明らかにした。
現時点で少なくとも3社は大阪・夢洲IRに注力すると宣言しており、誘致合戦はかなり激戦区になりそうだ。
さて、大阪以外には長崎(ハウステンボス)や和歌山、横浜、北海道などが名乗りを上げている。
大阪以外の地域は住民の反対が強く、まだまだ課題はあるのだが、その中でも有力候補として挙がっているのが横浜である。
筆者は個人的に横浜はIRの候補地として合っていないと思っている。今回はその理由を端的に説明する。.
横浜は国内向けの観光地
引用元:平成30年度訪日外国人旅行者市内実態調査(横浜市)
上の画像は横浜市がHP上にアップしている訪日外国人にまつわる調査(2018年度)である。
端的にいって横浜(神奈川)は日本人観光客には人気だが、外国人観光客には不人気である。
東京の訪問率が46.2%、大阪が38.7%、千葉が36.0%(←成田空港があるため)、京都25.9%、福岡9.8%であるのに対して、横浜は訪問率が8.5%にとどまっている。
この現象は関東圏に限ったことではなく、関西圏でも横浜と共通する港町の神戸も壊滅的に外国人には人気がない。
その理由は単純で、横浜や神戸のような美しく整備された港町は海外のどこにでもある光景だからだ。
観光客は日本でしか見れないものに集まるのであり、たとえ美しい町並みであっても同じものが本国にあるならわざわざ行こうとはしない。
そもそもIRは国外向け(外国人向け)の施設である。
IRを開発して一体的に運営するのは海外の事業者であり、ここに中国をはじめとする海外から観光客やビジネス客に来てもらい、カジノなどでお金を落としてもらう。そういうシステムである。
しかし、横浜のような内国人(日本人)が多い観光地であれば、日本人が海外企業からお金を吸い上げられ、海外に流れるという悲惨なシステムになってしまうだろう。.
引用:IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査(その4)報告書
横浜市が公開している資料を見てほしい。今のところ国内向け観光客は4~9割、外国人観光客は6~1割を想定している。
ただ横浜を訪れる観光客の大半は日本人であり、外国人が少ないことを考慮すれば、外国人観光客は2~3割ぐらいが妥当ではないだろうか。
つまり、外国人が2~3割、日本人が7~8割ということになる。
一方、大阪は・・・
引用:大阪IR基本構想(案)
一方大阪はどうなっているだろうか?
資料は大阪市が2019年2月に発表した「大阪IR基本構想(案)」である。大阪府市は数年前から議論とマーケティングを重ねているため、かなり定まった数値が出ている。
年間の売り上げ別でみると外国人2200億円、日本人1600億円。一人当たりの使用額が同じだと仮定しても、外国人は約60%で日本人は約40%となる。
数値にブレがあったとしても、半分以上は外国人で占められるという状況にはあまり変わりはなさそうだ。
そもそもIRは外国人向けに稼ぐ施設であって、日本人居住者や日本人観光客が多い横浜に誘致してしまえば、日本人の富を外国企業が収奪するという悲惨なことになりかねない。
関東であれば例えば、羽田や成田空港の近隣など、外国人が多い場所に立地させることが賢明だと思われる。
記事は以上です。
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