夢洲が世界最高水準の”成長型IR”として飛躍するには

IR(統合型リゾート)

引用:大阪IR基本構想案 本体(PDF 7.7MB)

少し前にこんなツイートを連投した。

ニュースの概要は、IR業者の大手であるラスベガス・サンズが東京と横浜の進出を諦め、大阪への進出に絞るとしたこと。

その他香港のメルコリゾーツやアメリカのMGMといった世界的なIR企業がOsakaを優先させると発表している。

日本のIR市場参入を狙う事業者にとって、もはやOsakaが第一志望になりつつある。

10年前の大阪の惨状を知っているものからすれば、この変貌ぶりに驚くばかりだ。

 

さて、IR(統合型リゾート)は日本国内に3カ所設置される予定であり、誘致予定地である大阪・夢洲は万博とセットで誘致を目指している。

大阪はIRに対する市民の理解が比較的進んでいることや府市で制度設計が深まっていることなどから、今のところほぼ当確とされている。

 

因みにIRのコンセプト案応募を表明したのは7者である。

★大阪夢洲のIRコンセプトに応募した事業者(府発表より)

・ウィン・リゾーツ・リミテッド
・MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックス株式会社
・ゲンティン・シンガポール・リミテッド
・メルコリゾーツ&エンターテインメント リミテッド
・ラスベガス・サンズ・コーポレーション
(2者は名称非公表を希望)

 

さて、これだけ世界的に有名な業者が集まれば、質の高い案を採用することができそうだ。

競争が高まれば高まるほど、例えば歩率のアップや本社の一部大阪移転、地下鉄費用のさらなる負担といった譲歩を引き出せる可能性も高くなる。

夢洲のIRは面白くなってきたが、これを成功させるために重要なことは何だろうか?

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夢洲は”成長型IR”を目指す

引用:大阪IR基本構想案 概要版(PDF 2.15MB)

上は大阪のIR基本構想案から引用した資料だ。夢洲のIRは”世界最高水準の成長型IR”を目指すとしている。

 

成長型と一言でいっても何を成長させるかで違ってくるが、一つは面積そのもの。

つまり、夢洲にはまだまだ空き地が残っているので、そこに第2.3期の新しいIRを作ってしまおうとする考え方だ。

 

その他にも、施設が古くなってくれば、IRで重要なキラキラ感や豪華な雰囲気が失われてしまう。だから定期的に設備を修繕したり、例えばVRといった最新のIT技術を導入して質的な成長を図る考え方。

もしくは近鉄や京阪、JRを通って奈良や京都といった世界的観光地に列車を通すことで、面的な広がりを生み出す考え方がある。

なにせ「夢洲IRは建設して終わり」ではなく、開業後も長期にわたって改善を重ね、成長し続けるIRを目指している。

 

成長型IRを実現するためには、IR業者にしっかり儲けさせる必要がある

古くなってきた壁を修理したり、最新式のプロジェクションマッピングを入れたり、道路を補修してF1を走らせたり、新館をオープンさせたり・・・するには当然ながら投資が必要だ。

金がなければ壁の修理はできないし、プロジェクションマッピングの投影機を買うことだってできない。

 

だから府市が目指している世界最高水準の成長型IRを実現するためには、十分に稼いで利益を生む必要があるのだ。

そしてその投資を判断するのは大阪府市ではなく、IR業者である。

 

夢洲のIRが儲からなかったら・・・

大阪に進出したIR業者だったが、予想していたほど利用者が増えず、大して利益が出なかったとする。

もちろん、大阪府市にとっても痛い。府と市はIRの総収入の15%を徴収することになっており、大阪の行政にとってもダメージが大きい(例えばIR業者に100億円総収入があったら、府と市は15億円徴税する)。

 

それだけではない。収益が上がらないと見込んだIR業者は、大阪から手を引き始めるのだ(笑)

儲からないものには投資はしない。これはビジネスだけでなく、日常でもいえる常識だ。

設備が古くなっても修理代をケチるだろうし、最新技術を使った機材が手に入っても、大阪ではなく例えばシンガポールやラスベガスといった他の地域に導入するだろう。

 

夢洲IRが予想通り儲かったら・・・

逆に大阪のIRが当初の見込み通り、華やかに成功したらどうなるだろうか?

沢山の外国人が宿泊し、劇場では歌舞伎俳優や日本のアニメキャラが踊っている。巨大な会議場では先端医療の国際会議が開かれ、会議後はカジノで遊ぶ。

大阪府市はその総収入のうち15%も手に入れることができる。現在の試算では、それらの”上納金”をすべて含めると年間800億円が府と市に入ってくる予定だ。

 

さて、IR事業者とすればどうだろうか?

夢洲のIRが世界中に展開しているどこよりも利益が出るとすれば、施設を面白くしようと最新の機材を真っ先に導入するだろうし、一番優秀な人材を大阪に送り出すだろう。

そうすればますます大阪の夢洲IRは魅力的になり、観光客やビジネス客に選ばれる施設になるだろう。

 

つまり、大阪のIRを成功させるにはIR業者に旨味を残し、しっかりと稼がせてあげること。

”成長型IR”のためには原資をIR業者に稼いでもらい、それを成長のために投資してもらうサイクルが必要なのだ。

※因みにIRの収益構造であるが、政府と自治体は合計で総利益の30%を徴収する予定だ。つまり、国は府市と同じく15%を吸い上げていく。大阪府市がこれだけ必死にIRを誘致しても、国がその半分を持っていくというセコイ構造・・・

 

もちろん、IR業者はカジノというビジネスの世界で戦ってきたプロフェッショナルであるから、騙されないようにしないといけない。

脱税のスキームは承知だろうし、関係者へのわいろといったことも起こりうる。

 

ただし、こちらが税金を搾り取ってやろうという姿勢は禁物である。

例えば府民の間で、外国企業であるという理由だけでカジノ業者に攻撃を加えたり、「税金をふんだくれ」といった意見が出てきたら危険だ。

 

上納金という形で府市が年間800億円近くを徴税し、府民に還元していく。

因みに大阪府はその莫大な税金を府大や市大の授業料無償化拡充にあてるとも報道されている。

どのような用途になるか分からないが、今後、高齢者人口が増加してますます社会保障費が増えてくる。そのような社会保障の安定のためにもカジノの財源は大切だろう。

記事は以上です。

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