大阪には森ビルの様な”高い理念を掲げたディベロッパー”が必要だ

大阪の未来構想

虎ノ門ヒルズのキャラクター「トラのもん」

東京の都市開発において、森ビルが果たしてきた役割は大きいと思う。

そしてこれからは虎ノ門・麻布台エリアで巨大な再開発を行うなど、ますます東京での影響力を大きくしていくだろう。

大阪のことは述べず、まずは森ビルの東京における開発を見ていきたいと思う。

 

六本木ヒルズはビルや住宅などが一体的に開発されている

森ビルの再開発において一番有名なものは六本木ヒルズだ。

2003年にオープンした都心の職住近接型のオフィスビルで、ホリエモン率いるライブドアが入居していたり、その他時代を切り開くIT企業がここを舞台にしてきた。

 

それ以降も森ビルは六本木ヒルズ周辺のエリアに、オフィスとマンションが併設された高層ビルを建設しており、最近では麻布台に高さ330mもあるビルを建てると発表し、これがあべのハルカスの300mを抜くことから大阪でも少し話題になった。

ハルカスの上に40mぐらいのビルを建設してはどうかと一瞬思ったが、それは冗談(笑)

うめきた2期がイノベーションの大拠点になるために足りないのは”ネットTV”だ

森ビルが行ってきた他の再開発

仙石山森タワー

仙石山森タワーは2012年に完成した。

写真では分かりずらいが、遠目で見ればわかる通り、低層階はマンション(住居)となっており、高層階はオフィスとなっている。

これも職住近接を意識して作られているだろう。

 

実際に入居しているテナントも外資系企業や大使館など、外国にまつわる企業・公的機関だった。

これは大阪ではできない、東京ならではのオフィス開発であるが、外国人が望む職住近接をピンポイントで狙った再開発はやはりうまいなと思った。

 

虎ノ門ヒルズ

2014年に開業した虎ノ門ヒルズ。

尖ったビルのフォルムが印象的だ。周辺にはオフィスやタワーマンションが建設されており、虎ノ門エリアが広がる予定だ。

 

入居するテナントを見てみたが、こちらも日系企業だけでなく、外資系企業や外国系の政府機関が入っていた。

 

一対一で向かい合える特等席っぽいです

僕、トラのもん。明らかにドラえもんだが、テレビ朝日との近さを利用して、このようなイメージキャラクターを作っているようだ。

確かに筆者も、「僕、トラのもん」だけは覚えてしまった(笑)

 

都心で大規模開発するのは大変

丸の内(東京)

東京や大阪といった大都市の都心は、利用価値も高く再開発をすべきだという要望は多い。

しかし、実際に都心を再開発するとなればかなりの困難を伴うし、実際にやりきるのは難しい。

 

その理由はとっても簡単で、規模が大きくなるほど、地権者が多いからである。

六本木ヒルズは地権者が数百人いて、再開発に同意してもらうために何度も何度も足を運んだそうだ。

そのため再開発をしようと決定してから、実際にヒルズを建てるまでには10年以上かかったらしい。

 

どうして森ビルはそれができたのかといえば、粘り強い交渉力があったからであり、東京という都市を世界で戦える都市にしたいという理念があったからだと思う。

どれだけ粘り強く交渉をしても「儲かりますよ」だけでは納得しない地権者も多いと思う。それよりも、「東京を国際都市にして世界で戦える都市にしたい。そのためにはこのエリアに職住近接型のオフィスと街が必要だ」という強い理念が通じたからではないだろうか。

 

地権者は先祖代々守ってきた土地を森ビルに独占的に貸すわけで、彼らの理念に共感したところも少しはあったのではないかと思う。

因みに虎ノ門、麻布台地区に新しく作られる330mのビルについて、社長の辻慎吾氏(というか森ビル)はシンガポールや上海、ロンドンなど世界都市との競争を意識し、本気で勝とうとしている。

 

大阪にも”森ビル”が必要だ

うめきた(大阪駅前)

東京での森ビルの活躍を見ていると、大阪にも森ビルような高い理念を持ったディベロッパーが必要だと痛感している。

 

特に大阪という街は国(政府、幕府)の関与が東京より少なく、街のあり方は民間や一般市民の手によって作られてきたという歴史がある。

だからこそ、大阪にも森ビルのような都市の将来を考えられる民間のディベロッパーが必要だ。

 

大阪の再開発(うめきた2期)は東京の大手ディベロッパーである三菱地所などが行っており、それはそれでいいのだが、彼らにとってはあくまで一地方の案件であり、その都市の将来を描こうとまでは考えられない。

なお三菱地所は、東京駅近くに400m近い日本で最も高いオフィスビルを建設する予定であり、こちらで頭がいっぱいだろう。大阪のことはあくまで支社である。

 

大阪にも、大阪の将来を切り開いていくようなディベロッパーは現れるのだろうか?

うめきた2期がイノベーションの大拠点になるために足りないのは”ネットTV”だ

コメント

  1. パペポ より:

    森ビルのサイトを見てきましたが、東京の課題をしっかり認識できてるのは意外というか好印象なのですが、結局解決策がどこか上滑りしてるというか、抽象的というか、中身が無い様に思います。
    曰く、「(東京の)国際的な地位の低下、地震リスク、緑の喪失、過酷な通勤、交通渋滞、狭く短命で高額な住宅、雑然とした景観、老朽化したインフラ、文化や伝統の喪失…」とありますこれら東京の課題はだいたい一極集中が原因だからです。つまり森ビルが頑張って東京の都市魅力を高めれば高めるほど解決から離れるんですよ。日本の国自体に将来性がなければその首都も国際社会から将来性無しと判断されますよね。景観やインフラを改善しようにも投資額が増大する。渋滞や通勤地獄は言わずもがな。要するに東京の魅力を高めたいといいつつ結局より儲けたい、取り敢えず他のデベロッパーより儲けたい、そのためにイケてる建物作るよということですね。要は規模以外は大阪の阪急阪神とかとたいして変わりません。もちろんこれは営利企業なのだからしょうがないこと。やはり民主主義で市民に選ばれた政治が理念をもって彼ら営利企業にどう対峙するかだと思います。

    • 大阪の未来構想 大阪の未来構想 より:

      コメントありがとうございます。

      東京一極集中の原因はいろいろ言われていますが、私は立法権や許認可権、財源などあらゆる権限が霞が関や永田町に集中していることにあると考えています。

      だから、森ビルやその他のディベロッパーが東京の再開発を行って都市の魅力を高めたとして、それが東京一極集中につながるものだったのしても、それ自体は悪いことにはあたりません。
      是正すべきは長年変わっていない国と地方のあり方です。

      職住近接⇒外国人が好む&人口の都心回帰傾向を加速させる
      都市の高層化⇒空いたスペースを緑化し都心の環境を改善
      不足していたインターナショナルスクール⇒ザブリティッシュスクールイントーキョーを入居させる
      どれも東京の魅力をアップさせ、国際化を推進するものばかりです。

      特に職住近接のコンセプトは通勤電車のストレスや無駄な時間を解消するものであり、東京にとっては大変重要な仕組みです。六本木ヒルズからこれは森ビルにとって欠かせないコンセプトなのかもしれません。