京都と大阪を繋ぐ京阪電車(京橋駅)
大阪と京都。「大阪は長い歴史があるのに府民がその重要性を理解してない!良くない!」と主張されるが、歴史を保存している京都と上手く分業できてて、むしろ良いのではないかと。
京都:歴史伝統を維持し蓄積する場
大阪:新しいものを創り出す場— 大阪の未来構想 (@osaka2theworld) November 29, 2019
少し前に上の様なツイートをした。
今回はこれについてもう少し掘り下げてみようと思う。
学者に多い傾向があるが、「大阪人は大阪の歴史を大切にしない」と批判的な意見を述べることがある。
確かに日常大阪で生活していても、大阪人は大阪の歴史についてあまり関心がない。古くは難波宮といって首都機能の一部を担った時代があったりするし、聖徳太子が建立した日本最古の官寺「四天王寺」は実は京都ではなく大阪にある。
大阪は都市としては1500年以上の歴史があり、首都や副首都、経済都市など国においても重要な役割を担ってきたにもかかわらず、あまり知られていない。
しかし、大阪人が歴史に無関心になるのにはそれなりの理由があるのではないだろうか?
それは関西を一つの国として捉えれば見えてくるかもしれない。
記事の内容を要約!
・「大阪人は大阪の歴史に無頓着だ」と良くいわれるが、それは完全に間違っているのだろうか?
・関西全体で考えれば、京都は「歴史文化都市」、大阪は「イノベーション経済都市」であり、上手く分業できていると思う
・例えば日銀大阪支店など、大阪本来のあるべき姿を考えれば、もっと良くできる箇所はあるはず
大阪と京都は上手く分業している?
関西は一極集中の東京と違ってそれぞれの都市に個性があって面白いと言われる。
歴史文化の京都、商業の大阪、港町の神戸など、それぞれが独自性と個性を有している。
最近思うのは、「大阪が歴史に無関心なのは、日本の歴史文化的な遺産は京都に蓄積されており、大阪自体が歴史にフォーカスする必要性を感じてない為では?」ということだ。
伝統的な京町屋
確かに京都は明治維新を経て、天皇家の居住地としての地位を失い、日本の首都を東京に半ば強制的に奪われた。だから今は単なる日本の一都市だと言える。
とはいっても首都陥落はわずか150年前であり、10世紀以上に渡って京都は日本の首都であった。
外国人を含めた人々がイメージする最も伝統的で日本的な文化は、京都を中心に生まれ、発展し、蓄積してきた。
日本一長い商店街「天神橋筋商店街」
一方大阪といえば、首都京都の港町(外港都市)として発展した。
江戸時代は商業都市として栄え、例えば堂島では世界で初めての先物取引を生み出した。明治以降は鮮やかに工業都市に変身し、日本の繊維産業を支えた。
因みにだが、堺屋太一氏は「野村総研の調査によると、戦後新しくできた業種業態77個のうち54個は大阪から生まれた」述べており、例えばスーパーマーケットや消費者金融、引越センター、回転ずしなど今の日本にはあって当たり前のものが大阪から生まれたとしている。
大阪は商都と呼ばれる通り、商業の街であり、日本初だけでなく世界初ともされる新しくて画期的なイノベーションを生み出してきた都市だと言える。
新しいものを生み出すためには、過去つまり歴史や文化といった古いものに囚われていてはいけない。常に前を見て、「面白いもの」「新しいもの」に飛びつかねば他に負けてしまう。
そのような大阪という都市が日本で求められる役割に合わせて、人々の気質が「歴史を大切にしない」ようになってきたのではないだろうか?
まとめるなら以下の通りだ。
京都:日本の歴史や文化を保存し、蓄積する場所(歴史文化の都市)
大阪:新しいものを生み出す場所(イノベーションの都市)
そのように考えれば、「大阪は歴史を大切にしない」という否定的な文脈ではなく、大阪と京都は上手く仕事と役割分担ができていると肯定的に捉えることができるはずだ。
例えば…日銀大阪支店はあのままでいいの?
道路を挟んで大阪市役所の向かい側に鎮座する日銀大阪支店
あくまで一例ではあるが、大阪=新しいものを生み出す都市(歴史や伝統に囚われすぎない)という視点で考えれば、淀屋橋駅前の中之島に建つ「日銀大阪支店」はもう少し改善余地があるのだろうと思ってしまう。
大阪の都市開発に詳しい人や財界人の間では一般的に、「伝統的な建物は維持すべき」という主張が主流であり、それには反することになる。
ただ今の日銀大阪支店は、銀行業務のためにフル活用されているわけでもなく、内部は記念館や広報ルームになっている。
確かに厳かな外観ではあるが、正直、本場のヨーロッパの石造りの建築物と比べれば、目を見張るものではない。
このままで良いのだろうか?
ぶっ壊せと言っているわけではなく、再開発するにしても、低層階は旧庁舎の構造をモチーフにしてパーツを多く利用するなど、伝統を受け継ぐ方法はいくらでもある。
言いたいことは、大阪という街は過去に囚われすぎてはならず、常に将来を見続けなければ没落してしまう都市であり、一等地に建つ日銀大阪支店はそのような文脈で考えるべきだということ。
もちろんこれは日銀大阪支店に限らず、大阪市と大阪府のあり方や外国人に対する考え方などありとあらゆることに通じる話だ。
大阪という都市の本来のあるべき姿を考え、他の伝統的な建築物も含めてどうするか考えた方が良いと思う。
【その他ご意見】
自分は大阪も京都も実はイノベーション都市なのではないかと思う。
大阪のイノベーションを商人だとしたら、京都は職人という感じ。 https://t.co/0gnrXCFwNA— ORI電 (@neokansai) December 2, 2019
京都が実はイノベーティブという点には同意。
都市は人間の集合体であり、保守的な側面もあれば、革新的な側面もあり、様々な顔を持っています。
今回は、京都=歴史文化の蓄積拠点、大阪=技術革新のコントラストを強調するため、文中ではあえて触れませんでした。
※ツイッター利用規約に基づき引用しています。
コメント
京都はTVゲームや映画発祥の地でもありますよ。逆に坂本龍馬遭難の地がコンビニになるのも京都。
要するに、関西人は京都も含めて歴史をあんまり大切にしない、進取の精神が豊富ってことです。京都に歴史が残ってるのは残してるのではなく豊富すぎて潰しきれてないだけ(笑)
これはおそらく儒教浸透度が東京や韓国に比べて低いからだと思います。